国会質疑

人種差別撤廃推進法案質疑

2015年8月6日(水)

  • 法務委員会質疑2
  • 法務委員会質疑1

法務委員会が開催され、5月22日に民主党及び社会民主党と無所属議員より参議院に提出された、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案について、本法案の発議者の方々並びに、政府に対しまして質疑を行いました。

本法案は、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の理念に基づき、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策を総合的かつ一体的に推進するため、差別の禁止等の基本原則を定めるとともに、差別の防止に関し、国及び地方公共団体の責務、基本的施策その他の基本となる事項を定めるものです。また、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、いわゆる人種差別撤廃条約へ我が国が1995年12月に加入してから、本年で20年を経過するところです。

そこで、総論的に本法案の位置付けということで、人種差別撤廃条約へ我が国が加入してから20年という、言わば一つの節目とも言える本年に、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案を提出するに至った経緯及び趣旨について、発議者に伺いました。

法案発議者からは、人種差別撤廃条約を承認しながら、20年を経過する中で、それを受けた基本法がないということは、政府が怠慢だったのではないかと思う。理想的な話としては、法律を作るまでもなく、差別のない社会が実現しているのであれば、それでいいかもしれませんが、現在、ヘイトスピーチもあり、その他、色々な人種差別に関する具体的な事件も起きておるわけですから、早急に政府として対応することが望ましかったと思いますが、現実にそうした対応がなされていないわけです。これは、立法府の責任として、また良識ある参議院として、しっかりとこの条約の趣旨を受けた基本法を制定すべきではないかということ、そして、現実に社会問題となっておりますヘイトスピーチなどの行為に対してしっかりと対応できる法律を制定することが必要ではないかという趣旨であるとの御答弁をいただきました。

次に、昨年8月に人種差別撤廃条約の遵守状況を監視する国連人種差別撤廃委員会から、人種差別を禁止する包括的な特別法の制定等を行うべきとの我が国への勧告があったこと、そして、これまでも本委員会において、人種差別等に関する質疑を拝聴させていただき、現行法での対応には限界があるとの問題意識が繰り返し指摘されてきたことについて触れました。

こうした現状を踏まえた上で、議員立法により本法案が提出され、その後の記者会見において、発議者からは、本法案が人種差別撤廃条約を受けた基本法という位置付けであるとの説明をされておられます。

そして、その説明は、本法案の第1条や第5条に表れているものと思いますが、そこで、人種差別撤廃条約を踏まえた内容が、本法案の各規定において、具体的にどのような形で示されているのかについて、発議者に伺いました。

法案発議者からは、基本的にはこの法律全部がその趣旨を生かした内容だと思っており、構成を概略説明すると、まず、基本原則として人種差別は許されない行為であるということを明確にする。そして、国や自治体の責務として、そうした差別がないような施策を講じる責務を課すというような構成になっている。また、独立した審議会をつくって、そこで実態の調査、それから様々な取組に対しての意見を提言するということになっており、そうした構造そのものが、人種差別撤廃条約の趣旨を国内的に生かすための基本法的な位置付けになるものと考えているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、本法案は第20条において人種等差別防止政策審議会を設置することとしていますが、これは人種差別撤廃委員会が我が国に独立した国内人権機構の設置を勧告していることを受けて規定したものであるということですので、こうした規定によっても、本法案が人種差別撤廃条約を受けた基本法という位置付けであるということが示されていると考えるとともに、本法案は人種差別という課題の解決のために必要な規定を置いた法案であるということが、発議者からの御説明で理解することができたものと思う旨を申し述べました。

次に、人種差別撤廃条約を受けた基本法という位置付けとされるこの本法案が、今後更に審議が深まり、そして広がりを見せて成立した場合、我が国から人種差別を根絶していくために、どのような役割を果たすとお考えになられるのかについて発議者に伺いました。

法案発議者からは、本法案の成立を望んでいるところであるが、基本的には理念法であるので、具体的な処分あるいは手続というものを定めたものではないことから本法案が成立した後、国において差別をなくすための施策を講じる、あるいは国会において立法する、各自治体において条例を制定することとなる。例えば、ヘイトスピーチ、デモ行進というような形でも行われているが、このデモ行進の許可等については、都道府県の条例で規定している場合が多いわけであり、こうした条例の在り方についても、人種差別は許されないという精神を盛り込んだ形で、条例がまた制定されていくものと考えている。あるいは、公共的な建物の利用については、その利用に関する規則というものを各自治体は定めており、その利用の規則を定めるに当たっても、このヘイトスピーチあるいは人種等の差別を許さないという、こうした基本原則を盛り込んだ内容の規則が定められるという形で、人種差別を許さないという施策が次第に浸透していくということで、具体的な効果を発揮していくものと考えているとの御答弁をいただきました。

次に、人種差別における名誉毀損罪と侮辱罪関係について、発議者と政府の双方にお考えを伺いました。

特定の個人、団体について不特定又は多数の認識できる状態で、公然と事実を摘示することによって社会的評価を低下させた場合には名誉毀損罪が、また、事実の摘示を伴わずに単に評価、判断を示すことによって社会的評価を低下させる場合には侮辱罪という犯罪の適用が成立し得ると言われており、 こうした現状を踏まえた上で、本法案は理念法であり基本法であるということは十分承知いたしておりますが、この人種差別と、名誉毀損罪そして侮辱罪関係についてどのようにお考えになるのか、発議者及び政府に伺いました。

法案発議者からは、政府に対して、ヘイトスピーチ等人種差別等について、どのような対応をするのかと質問したことがあり、それに対する答弁は、決してヘイトスピーチ等は許されないという点ではいいが、どのように対応するのかということになると、現行法を厳正に適用するということで対応したいということであった。ただ、ヘイトスピーチあるいは人種差別等が実際に起きていても、例えば京都の朝鮮学校襲撃事件のように、相手方が特定されており、そして刑法の構成要件に該当する犯罪行為であれば、それは刑法で対応できる、刑事事件で対応できるということであるが、今、社会問題化しているヘイトスピーチの多くは、そうした刑法の犯罪には構成要件的には該当しないということである。言わば、路上で聞くに堪えないような差別的な言動を言いながら行進しているというような場合は、なかなか刑法では対応できないということである。すなわち、別の言い方をすれば、現行法ではそれを処罰することも規制することもできないということである。そうすると、政府の方で、ヘイトスピーチは許されないことだが、現行法で厳正に対応するといっても、現行法では対応できないから、今、こうした行為が社会問題化しているのである。そして、現行法では対応できないのはなぜかというと、やはり基本的にこうしたヘイトスピーチを含めた人種差別が法的に許されないことなんだ、違法なんだということを明確にした法律がないからということが非常に大きな原因であるので、それを明確にしたこの法律を制定する必要性から、今回提出させていただいたということであるとの御答弁をいただきました。

法務省からは、こうした人種差別における現行法である刑法の侮辱罪、名誉毀損罪との関係については、一般論として申し上げれば、その人種差別におけるある言動が、特定の人種や国籍を有する方々に対する言動であって、それが特定の個人や団体について、公然と事実を摘示してその名誉を毀損した場合には、刑法230条の名誉毀損罪が成立し得る。また、事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱したという場合においては、刑法231条の侮辱罪が成立し得ると考えているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、名誉毀損罪の場合は、他人の名誉を傷つけ、損害を与えるということであり、これは民事上は、人の品性そして名声、信用などについて社会的評価を違法に侵害することとされており、また、刑事上は、公然と不特定又は多数の人が知ることが可能な状態で、これは事実であれ、虚偽のうそ偽り、真実でないことを誤って故意に真実だとすることであれ、決め付けて、その人の品性又は能力などについて社会的評価を引き下げる、こうしたことは名誉毀損罪の対象とされること、また、名誉毀損罪、侮辱罪共に、条文上、公然と行うとなっており、不特定又は多数の者が認識できる状態でこれは成立するとなっていますが、現在、日本国内においては、人種差別を禁止するための法的な規制はございませんし、また人種差別に対して法律では明文化されていないほか、また、罰則がないために、個々の事例において、犯罪とされる適用をめぐる判断の際にこれは曖昧なものとされてしまうということが言われておりますし、そうした現状があるのではないかと考えております。また、安倍総理におかれましても、2013年、2014年、2015年と、人種差別、ヘイトスピーチにつきまして、衆議院、参議院両方の本会議、またさらには委員会でもお考えを発言されてこられました。また、その中では、政府として、ヘイトスピーチや人種差別の根絶に向けて現行法を適切に運用して対処していくということを御答弁されていらっしゃいますが、発議者の方からお話があったように、その適切な対応というのが、今、浮いた状態にあるというような現状にあると思いますので、やはりそこは政府として適正な対応を今後御検討いただきたいという旨を申し述べました。

次に、これまで政府は、ヘイトスピーチに関する法案について、各党における検討や国民的な議論の深まりを十分注視したいとの旨を答弁されていますが、今回提出されている法案について政府としての御所見及び、今後、政府として人種差別撤廃条約への加入を受けての国内法整備を新たに行おうというお考えをお持ちでいらっしゃるのかについて伺いました。

上川大臣からは、本法案については、議員立法という形で国会に提出されたものであり、法務大臣としては、立法府たる国会における議論の推移を見守ってまいりたいと思っている。法務省としては、これまでも、これからもということであるが、外国人等に対する偏見や差別の解消に取り組んでいくということ、これは極めて重要なことであると考えており、その意味で現行法の適切な適用、そして効果的な啓蒙啓発活動を通じて国民の皆さんの意識啓発にしっかりと取り組んでいく、そして、そうした行動をすることに対してしっかりと対応していかなければいけないと思ってきたところである。ヘイトスピーチに関する国内法整備の必要性という質問であるが、これについては、先ほど申し上げたとおり、法案がまさにこの国会で審議されているということなので、議論の推移を見守ってまいりたいと思っているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、本日、こうした形で議員立法による本法案が本委員会で審議されているということは、人種差別撤廃に向けての大きな一歩であると考えておりますし、まさに、人種差別が社会的問題となっているという状況で、日本には人種差別があるということを認めることになるから、人種差別撤廃のための法律を作らないのか、それとも、日本には人種差別そのものはないと認識しているので、人種差別撤廃の法律は必要ないと考えているのかといった声もあるわけです。そして、表現の自由との関係、またさらには罪刑法定主義との関係については、いずれも日本国憲法との問題もあり、慎重な検討が必要であるということは、私も十分理解いたしております。また、人種差別は現在進行しているという、我が国における大きな課題の一つとなっている現状にありますので、政府におかれましても、今後、こうした議員立法による法案もこうして出てきておりますので、適正な対応をお願い申し上げ、質疑を終えました。


裁判員法改正案質疑

2015年6月4日(木)

  • 裁判員法改正案質疑2
  • 裁判員法改正案質疑1

法務委員会が開催され、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正案について、前回5月26日に引き続いて質疑を行いました。

まず初めに、前回の質疑で積み残した、通訳を要する事件の裁判員裁判を担う法廷通訳人をめぐる課題について取り上げました。

前回、裁判員裁判における法廷通訳人の方々に対する報酬基準の有無についてお尋ねしたところ、最高裁より、法廷通訳人に対する報酬については、刑事訴訟費用等に関する法律7条において、裁判所が相当と認めたところによると定められており、各裁判体が個別の事件ごとに決定すべきとされていることから、最高裁が通訳人の報酬について基準を定めるようなことは、この法律との関係で問題があるため、一定の報酬基準というものは定めていないとの御答弁をいただいたところです。

そこで、裁判員裁判制度の施行により、従来以上に法廷通訳の質の向上及び確保が求められていることからも、報酬規定の整備等により、有能な通訳人を常時必要数確保し得る体制を構築していくことや、法廷通訳人の能力保持のための研修実施に加え、通訳人の地位や資格を明らかにして、経済的基盤を安定させ、その身分を保障するための法整備を視野に入れる必要があるのではないかと思われますが、この点に関しての上川大臣及び最高裁の御所見を伺いました。

最高裁からは、報酬規定の整備については、5月26日の法務委員会でも答弁したとおり、最高裁判所が通訳人の報酬について基準を定めるようなことは、刑事訴訟費用等に関する法律7条との関係で問題があると考えている。もっとも、現状においても、各裁判体は、事件ごとに事案の内容や複雑さ、審理の長短、通訳の難易度、通訳人の業務量などを考慮して、必要があればほかの事例の決定額などをも参考に、報酬額を決定していると承知しており、決して恣意的に報酬額を決めているわけではないことを理解いただきたい。次に、法整備については、立法事項に関わることであるので、裁判所の事務当局はお答えする立場にない。もっとも、裁判所としても、法廷通訳の質の向上を図り、有能な通訳人を確保することは重要なことであると認識している。そこで、裁判所では、通訳人候補者を対象として、法廷通訳経験の多寡などに応じた複数のタイプの研修を全国の高裁、地裁で実施しており、これらの研修においては、法廷通訳の経験が豊富な講師からアドバイスを受けながら、模擬記録を用いて模擬通訳実習を行うなどして、法廷通訳の実践的な知識や技能を習得できるようにしているところである。裁判所としては、今後もこのような取組を通じて、法廷通訳の質の向上等に努めてまいりたいと思っているとの御答弁をいただきました。

上川大臣からは、正確、公正な通訳の実現は、刑罰権の適正な実現のために大変大事なことであり、また、関係する外国人の方の権利保障の観点からも重要であると考えている。法廷通訳の質の向上及び通訳人の確保については、最高裁判所からの答弁にあったところであるが、まずは裁判所における研修、セミナーなどの取組が大変重要であるということなので、これらをしっかりと注視しながら、法整備の必要性については慎重に検討してまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、報酬額というのは恣意的に決めているわけではないということであり、裁判員裁判においては、通訳人の負担を軽減するため複数の通訳人が付くという場合があって、裁判員制度に関する検討会において行われた法廷通訳人の方々に対するヒアリングによりますと、片方の通訳人の方が業務に就いていても、結局、被告人や証人がどのような言葉を使ったのかを知っておかないと、交代して通訳業務を行う際に支障を来すので、もう1人の通訳人も裁判を傍聴せざるを得ないことから、負担軽減につながっていない現状もあるということです。そうした場合、裁判所は、他の通訳人が通訳をしている間は、これを報酬対象としていないため、それぞれの報酬が激減するということも起きているということから、こうした状況を踏まえ、適正な裁判の実現に重要な役割を果たしておられる法廷通訳人の方々が、安定してその職務に従事できるような環境づくりを今後の検討課題として取り組む必要性があるのではないか考えている旨を申し述べました。

次に、子育て中の被害者等が証人や被害者参加人として裁判に参加する際の支援について伺いました。

まず、法務省のホームページには、被害者支援のための一般的制度として被害者支援員制度と被害者ホットラインという制度が紹介されておりますが、子育て中の犯罪被害者やその御遺族の方々で、裁判に関わる間において子供等の預け先に大変苦労しているというような方々に対して、現状どのような支援を提供されておられるのかについて伺いました。

法務省からは、検察においては、被害者支援のための様々な取組を行っているが、その1つとして、犯罪被害者やその御遺族の方々の負担、不安をできるだけ和らげるために、犯罪被害者への支援に携わる被害者支援員というものを全国の地方検察庁に配置している。この被害者支援員は、被害者の方々からの様々な相談をお聞きしているほかに、捜査、また公判段階における各種情報の提供、あるいは他の被害者支援機関、団体との連絡調整などを行っているが、特に子育て中で裁判に関わる際の取組については、これを網羅的に把握できているわけではないが、例えば被害者支援員や検察庁職員が、自ら庁内の面談室等において、裁判に携わっておられる間にその被害者の方の子供をお預かりする、あるいは、被害者の方が子供とともに来庁した場合には、他の被害者支援機関と連絡を取って、子の一時預かりの可否を調整する、こういったような体制、これを被害者支援員や、その他の検察庁職員が行っているという事例があるものと承知している。いずれにしても、個々の事案ごとに、犯罪被害者、その御遺族の方々の状況や立場に配慮した対応に努めていきたいと考えているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、現在は被害者支援員制度が設けられ、被害者支援員が被害者の方々からの様々な相談への対応等を行っており、また、子育て中の被害者等の方々で支援を必要とされている方につきましても、個々の相談内容に応じて、託児所等の情報を保有している地方自治体窓口等の紹介も行っているということも承知しておりますが、その利用時間帯の問題で、朝早かったり夜遅くまでというようなこともありますので、その辺の配慮、時間の調整等も今後必要になってくるかと思いますので、是非とも検討いただきたいと思っている旨を申し述べました。

犯罪が発生すると、通常、まず警察が捜査を行うということになりますが、犯罪被害者やその御遺族の方々は、被害に遭われた直後は極めて大きな衝撃を受けられ、非常に強い混乱や恐怖等に陥ってしまうと伺っており、そのような状況において、被害者等に真っ先に接することになる警察がしっかりと支援を行っていくということが、大変重要であると考えます。現在、警察における犯罪被害者等の支援体制はどのようになっているのか、特に子育て中の方々や、また介護中の方々で、警察の事情聴取等、捜査に協力をお願いする場合にはどのような配慮等を行っているのかについて伺いました。

警察庁からは、犯罪被害者支援の体制について、警察においては、例えば殺人、性犯罪等の事件が発生した場合、あらかじめ指定された警察官等が支援活動を推進する指定被害者支援要員制度を運用しており、犯罪被害者の方々に対する事情聴取への付添い、刑事手続等についての説明、さらには民間被害者支援団体やカウンセラーへの紹介などを行っている。また、犯罪被害者等の方々には、生活、医療、裁判への対応等に関して多岐にわたった支援が必要とされるため、警察では、地方公共団体の担当部局や検察庁、弁護士会、医師会、民間被害者支援団体等とともに被害者支援連絡協議会や被害者支援地域ネットワークを構築し、必要な連携を図って支援を実施しているが、今後とも、警察における犯罪被害者支援施策の充実とともに、関係機関、団体との連携を強化し、犯罪被害者の方々のニーズにお応えできるように努めていく。さらに、犯罪被害者等の方々が子育て中や介護中である場合などは、そうした事情を十分考慮して、事情聴取等においても都合の良い時間や場所を設定するなど柔軟な対応に心掛けているところであるが、今後とも犯罪被害者の方々の負担の軽減に努めていくとの御答弁をいただきました。

そして次に、内閣府においては、地方公共団体に対して犯罪被害者等に関する適切な情報提供等を行う総合的な対応窓口の設置を要請していると承知していますが、全国の市区町村における窓口の設置状況、そして一時保育サービスや介護等、犯罪被害者等施策に関する条例の制定状況及び、きめ細やかな対応を行っていくための体制整備に向けての国の取組について伺いました。

内閣府からは、全国の市区町村における犯罪被害者等に対する総合的対応窓口の設置状況については、平成26年4月1日現在、全ての政令指定都市に加え、全国1722市区町村のうち、これは東京23区を含むが、1390市区町村、率にすると約81%に設置されている。また、犯罪被害者等施策に関する条例又は計画、指針は392市区町村で制定されている。その中には、全てを詳細に把握しているわけではないが、例えば兵庫県明石市の条例には一時保育に要する費用の補助や介護を行う者の派遣等の支援についての規定があるなど、子育て、介護を行っている犯罪被害者等のための制度について盛り込んでいる例もあると承知している。犯罪被害者等基本法は、国の責務とともに、第5条において地方公共団体の責務を規定しており、犯罪被害者等に身近な公的機関である地方公共団体は犯罪被害者等施策の推進において重要な役割を担っているものと承知している。内閣府では、このような観点から、第2次犯罪被害者等基本計画の下、総合的対応窓口の設置促進を始め、地方公共団体における犯罪被害者等施策の充実促進を図るため、地方公共団体職員を対象とした研修、先進的、意欲的な取組事例等を盛り込んだ地方公共団体向けのメールマガジンの発信、都道府県、政令指定都市の施策主管課室長会議の開催などの取組を実施している。今後とも、関係省庁とも連携協力しながら、地方公共団体における犯罪被害者等施策の充実促進に努めてまいる所存であるとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、更に犯罪被害者に寄り添った支援というものを構築していっていただきたいとの旨を申し述べました。

刑事手続における犯罪被害者への配慮、支援につきましては、公判前整理手続における被害者側弁護士の参加など、検討が必要な事項があるとの現状から、犯罪被害者の視点に立った刑事司法の在り方や今後の方向性についてはどのようにお考えになられているのか、上川大臣に御所見を伺いました。

上川大臣からは、刑事手続における犯罪被害者への配慮、支援については、この間、この委員会においても、裁判員制度による裁判に被害者として参加した経験をお持ちの小沢参考人から大変貴重な御指摘もあった。裁判員裁判においても、被害者を尊重し、本当の被害の現状を知ってもらいたいという御指摘もあったし、また、裁判員だけでなく、被害者についても保育、介護等のサービスが必要であるというような大変貴重な御意見であった。犯罪被害者等基本法の、そもそもの理念というのは、全て犯罪被害者等は個人の尊厳が重んぜられて、そしてその尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するということで規定されているところである。様々な犯罪被害者の方々の声にしっかりと耳を傾けながら、この被害者の参加制度等の運用により一層の充実を図るべく、関係省庁ともしっかりと連携しながら、被害者の視点に立った取組について全力を注いでまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

次に、捜査段階で行われる被疑者の精神鑑定に関して伺いました。

報道によりますと、捜査段階での被疑者の精神鑑定を行うために、被疑者を数か月間医療機関に移す鑑定留置の件数は、平成20年までに年間約200件程度でしたが、裁判員制度が始まった平成21年は353件、平成22年は483三件と急増し、平成26年は520件と、裁判員制度の開始前の倍以上になったとのことです。これは、裁判員が刑事責任能力の有無で迷わないように検察側が積極的に実施しているとされていますが、これに対応できるだけの専門医の不足と、鑑定の質の低下に対する懸念が指摘されているというところもあるようです。報道では、この増加傾向について、従来は、被疑者の言動におかしな点があっても、捜査段階では1、2時間の面接による簡易鑑定で済ませ、起訴後に弁護側が責任能力を争った場合にだけ正式な鑑定を実施するのが通例でしたが、捜査段階における鑑定留置件数の増加の理由について、どのように考えておられるのかについて伺いました。

法務省からは、近年、被疑者について、鑑定留置の件数が増加していることは御指摘のとおりであり、この鑑定留置を行うかどうかは、当然個別具体の事件で判断されることであるので、この件数の増加について一概に理由を申し上げることは困難であるが、裁判員制度との関連で申し上げれば、専門家による客観的な鑑定を実施してその結果を公判において分かりやすい形で明らかにするということが、裁判員が適正な事件に対する心証を形成するために極めて効果的であるという場合が多いと考えられるので、検察官においても、この裁判員裁判対象事件において捜査段階における精神鑑定、そのための鑑定留置請求といったものを積極的に行っているということがあり得るものと考えているとの御答弁をいただきました。

次に、捜査段階で被疑者に精神鑑定を行う場合、その専門医の選定は誰がどのように行っているのかについて伺いました。

法務省からは、各地方検察庁において、精神鑑定の分野で実績を有する医師から紹介を受けたり、あるいは大学等の精神医学に関する関係諸機関に協力を依頼して、この専門的知見を有し、かつ信頼できる鑑定医をより多く確保できるように努めているものと承知しているとの御答弁をいただきました。

刑事訴訟法第223条によりますと、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。」とされていますので、検察官がそうした選定、選任を行うということですが、捜査段階で行われる精神鑑定の急増により、鑑定に不慣れな医師にも依頼が入り、鑑定の質に対する懸念が指摘されている現状もあるようです。また、弁護士会等からは、捜査段階での精神鑑定は、検察寄りの医師に鑑定を頼み、自分たちに有利な結論を得ようとする意図が見えるとして、中立の立場の裁判所が鑑定医を選ぶべきとの意見も出されています。また、鑑定の質に対しては、日本司法精神医学会が認定精神鑑定医制度を創設し、過去に手掛けた5件分の鑑定書を提出して審査を受け、合格した22人が本年4月から初の認定医として活動しており、今後大幅に増やしていくとのことですが、これは鑑定の質の確保という意味で、1つの目安になると思われます。そこで、捜査段階において検察が実施する被疑者の精神鑑定の質は確保されているのか、また公正中立な立場の医師による鑑定がなされていると考えておられるのかについて伺いました。

法務省からは、この分野で専門的知見を有して信頼できる鑑定医をより多く確保することは、非常に重要であると思う。また、公正中立な立場の医師を確保するということが、その後の立証においても重要であるので、その点についてはそういった鑑定医をより多く確保できるように取り組んでいるところである。また、実際にその精神鑑定の質を確保するためには、信頼できる鑑定医を確保するという観点のみならず、個々の検察官において、個別具体的な事案に応じて適切な鑑定資料を収集して、それをその鑑定医に提供しなくてはならないので、その分野でも、検察官側の研修等を通じ、より信頼の置ける鑑定嘱託に努めているところであるとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、精神鑑定を行うに当たっては、個々の事件を担当する検察官の判断に委ねられているということであり、これまでのところ適正に実施されてきているものと私も考えている旨を申し述べた上で、この続きについても通告しており、上川大臣より御答弁をいただきたかったところ、時間となったので、またの機会にさせていただきたい旨を申し上げ、質疑を終えました。


法務委員会質疑

2015年5月28日(木)

  • 法務委員会質疑2
  • 法務委員会質疑1

法務委員会が開催され、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、大変御多忙のところ出席いただいた、中央大学法科大学院教授 小木曽綾氏、関東交通犯罪遺族の会代表 小沢樹里氏及び、自由法曹団司法問題委員会事務局長・日本弁護士連合会人権擁護委員会再審部会部会長 泉澤章氏の3名の参考人の方々に質問いたしました。

まず冒頭に参考人の方々より、御意見をお述べいただきました。

小木曽参考人からの御意見は、次のとおりです。

法科大学院で刑事訴訟法を担当しているほか、本法案に係る法制審議会の部会で委員を務めており、本法案に賛成の立場から意見を申し上げたい。

法案の改正点には第1から第4まであるが、その1は、著しく長期又は多数回にわたる事件を裁判員対象事件から除外するというものである。裁判員制度の理念は、法の1条に、国民の裁判への参加が司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資すると説明されていることから、これは、裁判を受ける被告人の権利とか参加する国民の権利というわけではなくて、刑事裁判についての国民の理解と信頼の向上に資するということがその目的ということであるので、仮に余りに国民の負担が重くなるということが想定された場合、そのなりわいを犠牲にしてでも裁判への理解と信頼を確保するために裁判員として務めを果たせというわけにはいかないだろう、それを強いれば、かえって国民の司法制度への信頼を損なうおそれがあるのではないかというのが、この提案を支える理由であると理解している。また、仮に裁判員がいなくなってしまうと、次の裁判員を選任する間、裁判手続が停止することになり、被告人の迅速な裁判を受ける権利を侵しかねない。法案は、憲法及び裁判員制度の理念と矛盾しないものと思う。

次に、その対象をどのように定めているかということであるが、1つは、裁判手続が始まる前に、審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたる、又は公判期日等が著しく多数にわたることを回避できない、そのときに、他事件の選任、解任の状況やその事件での選任手続の経過等を考慮して決める、又は、裁判が始まってから後で、同様の事情がある場合にこれを除外するということになっており、対象事件が具体的に定められてはいない。そうすると、本来裁判員裁判であるべきものが、裁判員裁判面倒だから裁判官裁判にしてしまおうと、そのような運用がされるのではないかということが懸念されたり、あるいは裁判所としても、どのくらいであれば著しく長期と言えるのかという基準がないので判断に困るという意見があろうかと思う。

では、除外事件を設けるとして、その期間や回数を明確に区切ることができるか、又は、そうすることがいいかということであるが、これについては、例えば、100日を超える場合というふうに定めたとして、その場合に101日との違いはどこにあるのかとか、また、100日超えであっても裁判員が十分に確保できるという見込みがあるのにやらないのかといった疑問が生ずることになるであろう。大まかにこれを定めるといっても同じことだろうと思う。期間や回数を区切ってしまうと柔軟な対応ができないおそれがあるので、個別の判断に委ねることとし、ただし、その事件を担当する裁判官が面倒だからやめようということのないように、別の裁判官の合議体でこれを決することとして、その際には当事者や事件の経過についてよく知っている、その事件を担当する裁判所の裁判長の意見を聞くという手続的な障壁を設けて、さらに、決定については即時抗告という不服申立ての制度があるということである。また、実際の運用としては、審理計画を立ててみたら、当初から1年、2年掛かるということが分かるようなものであれば選任手続に入らずに除外するということかもしれないが、そうでないものについては、選任手続に入ってみたら困難だということになって、そうした事例がそうあるとは思えないが、積み重なることで著しく長期、多数の基準ができ上がっていくことが期待されるのだと思う。

したがって、基準が明確でないということで、恣意的な運用がされるのではないかという懸念があるが、それに応えるような制度になっていると考える。法案が想定しているのは元々長い事件であるから、証人の数も証拠の数も多い。既に行われた証拠調べの結果を新たに選任された裁判員に知ってもらう手続を入れて更に裁判を続けると、その分裁判が延びる。その結果、被告人は裁判制度の都合で待たされることになる。また、裁判員の負担も増大することになるであろう。これは、言わば転ばぬ先のつえであり、これまでそのような事案がないということは反対の理由にはならないものと思う。

法案の第2、第3については、特に申し上げることはなく、当然の措置であろうと考える。

第4は、裁判員選任手続での被害者特定事項の取扱いである。裁判では、犯罪の被害に遭った人々に関する様々な情報、プライバシーが明らかにされることがあるが、これが流布されることによって被害に遭われた方が被る二次被害は大変なものがあるので、刑事訴訟法には被害者特定事項の秘匿制度、裁判員には守秘義務も課されているが、これは裁判員候補者には現在のところ及んでいない。実務的には相当な工夫をして、選任手続で被害者特定事項が伝わらないようにしているとのことではあるが、被害に遭われた方にとってはこれは大変な関心事であり、念には念を入れて、候補者であっても知り得た被害者特定事項は明らかにしてはならないこととして、ただし、候補者であるという地位に鑑み、その義務があることのみ法に定め、罰則までは置かないというバランスを取ることを図ったもので、適切な方策であると考える。

最後に第1の点について補足すると、当事者の請求又は職権である事件を除外事件とすると、国民が裁判に参加する機会を奪うのではないか、除外事件を決める手続に国民の意見を聞く段階を設けるべきではないかという御意見があろうかと思うが、これについては、まず形式的に、憲法及び法律には裁判員となる国民の権利ないしその機会を保障するという定めはないので、裁判員法の立法趣旨は、国民が裁判に参加する権利を実現するためというものではないと解される。そしてまた、裁判員となることがもし権利であるとすると、これを放棄することもできるはずであり、そうすると、国民には裁判員となることを辞退する自由も認められることになるのではないかと思うが、法は辞退事由を限定し、さらに、罰則をもってこれに対処している。ということは、この制度は国民に裁判員になる権利を保障したものではないと解することになる。法の1条が言うように、国民の参加によって刑事司法への理解と信頼を促進するという政策的な目的を実現するためのものであるから、したがって、それがかえって国民に負担を課すというものであれば除外事件を設けることができる、このように解される。

小沢参考人からの御意見は、次のとおりです。

私は、交通犯罪によって義理の両親を亡くした被害者遺族で、義理の双子の弟や妹もこの事件で重傷を負った。そして事件後、夫とともに弟、妹の二人を引き取り、一緒に暮らし、面倒を見ている。

2008年2月17日、家族4人が乗った車が埼玉県熊谷市の路上で事件に巻き込まれ、加害者の運転手が飲酒し泥酔状態の末、連続カーブ、時速40キロの道路を100から120キロで走行し、コントロールを失い、反対車線に走っていた二台の車に衝突した。そのうちの1台が私の義理の弟が運転していた車で、妹と両親が同乗しており、両親は即死であった。加害者側の運転手は、既に危険運転致死傷罪により16年の実刑判決が確定し服役中で、酒を飲ませた飲食店店主も、道交法の酒類提供罪で懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。そして、同乗者2人は、さいたま地裁で危険運転致死傷の幇助罪として裁判員裁判を受け、懲役2年の実刑判決が下った。

裁判員裁判においては被害者参加人として、夫、弟妹と私の4人が参加した。証人として、事故当事者の弟妹2人と私の夫、計3人が証言台に立った。被害者の意見陳述は、弟妹と私の3人が行った。犯罪事実については、私が被告人両名に直接質問をした。被害者としての論告求刑も、委託していた弁護士だけではなく、夫が直接行った。ちなみに、情状事実についても被告人両名に被害者が直接質問しようと思ったが、全く納得のいかない形での訴訟指揮で認められることができなかった。

私たちは4人の被告人に対して3つの裁判を経験してきた。危険運転致死傷罪での運転手に対する裁判、道交法の被害者がいないとされた飲食店店主に対する酒類提供罪の裁判、そして同乗者2人に対する危険運転致死傷幇助罪での裁判で、この罪名での裁判員裁判の起訴は全国初であった。最初の2つの裁判とは異なり、3つ目の裁判だけが被害者参加、そして裁判員裁判が始まって以降の起訴であったので裁判員裁判となった。私たちが危険運転致死傷罪の共同正犯で2人を告訴しなければ、道路交通法の同乗罪として裁かれ、裁判員裁判になることはなかったであろう。また、道交法は被害者なき犯罪として扱われるから、私たちも被害者参加人となることはできなかったことと思う。

この3つ目の裁判員裁判が最初の従来の裁判2つとはっきり違ったのは、裁判が大変に分かりやすかったということである。裁判員に理解ができるように進行したため、突然遺族となった私たちにとっても最初の2つの裁判に比べて十分に理解できた。また、私たちは、法律論よりも事件に関係した人の日常、当日の行動、それが聞きたかったのだが、裁判員も私たちと同じ感覚で、普通の疑問を被告人にしていただいた。例えば、同乗者同士であるA被告人と事件当日に一緒に飲んでいたB被告人に対して、裁判員は補充質問で、以前A被告人から暴行を受けたことがあると言っていたが、何回あるかと聞いたところ、B被告人は1回だけですと答え、裁判員はどういう暴行でしたかと更に聞き、B被告人は拳で背中を何回もたたかれましたと答えた。このように、会社内の役職上は横並びであっても、実際の被告人2人には上下関係があったことを的確に裁判員が浮き彫りにしてくれた。

さらに、情状立証に入ろうとしたとき、裁判長は法廷に入ってくると、本日の予定を変更します、裁判員らの強い要望により更に罪体について審理を続けます、ついては証拠請求されていた証拠のうちB被告人の検察での供述調書を職権で採用したいと考えておりますと宣言した。裁判員が強く要望してくれたおかげで、公判前整理手続で検察官が諦めかけた証拠を裁判所によって改めて証拠採用してもらうことができたことから、これこそが市民感覚の意義と感じた。

次に、私たちの裁判では、せっかく被害者参加人となって被告人質問をする準備をしていたが、情状質問については、被告人が、無罪を主張する以上、情状については包括的黙秘権を行使すると主張したために、裁判所が検察官や私たちの発問自体認めてくれなかった。私たちが委託した被害者参加弁護士が、黙秘権は黙っている権利であり、相手側の発問自体を制限するものではないと強く裁判所に異議を述べ、少なくとも発問を発することは認めてほしいと求めたが、結局、異議は認められなかった。私たち被害者は、事件以来ずっと被告人に聞きたいと思っていた情状について、質問することさえできなかった。被告人に聞きたいことがあるから、被害者参加制度を利用して法廷に立とうと決めたのに、裁判官の制度への無理解からそれを無視された。私たちの疑問を法廷で聞いてもらえなかったことについては、被害者側の問題だけにとどまらない。私たちの裁判を担当した裁判員にとっても大きな問題となって残ってしまったように思う。私たちの疑問が明確にならない状況があったのだから、裁判員にも事実の真相をしっかり理解してもらえなかったのではないかと今でも思っている。

裁判を通して、裁判員が聞きたかったことと私たち遺族が聞きたいことはとても近いように感じた。その一方で、被害者が聞きたいことは、法律の専門家が聞きたいこととは視点が違う。事件の真相を追求するとしても、何を知りたかったのかについては、職業裁判官に比べて、同じ一般市民である被害者と裁判員の方が同じことを考えているように感じた。職業裁判官だけで判断するのではなく、一般市民の感覚を取り入れることが裁判員裁判をつくった理由だったと思う。被害者参加と裁判員の疑問や意見が似ているのだから、被害者が刑事裁判への参加制度を利用して、自らの質問を生の声で伝えてしっかり法廷で明らかにすることは、裁判員が市民感覚を生かした判断をするためにも必要不可欠であると思う。

私たちの裁判では、公判前整理手続で除外された被告人の供述調書が、被害者の気持ちを理解したと思われる裁判員の強い要望によって裁判所の職権で復活し、採用された。裁判員の負担を考慮し、審理をスムーズにするための公判前整理手続だったはずが、その手続で証拠を絞り過ぎてしまったために、裁判所が新たに職権採用しなければ裁判員の判断に支障が出るようでは、全く意味がない。裁判員の負担ばかり考慮する今の裁判所の運用では、被害者の立場からすると、真相を十分に解明できず、不満が強く残る。なお、現在、公判前整理手続では被害者が立ち会うことも意見を言うこともできないが、もし、この手続に被害者側弁護士だけでも参加することができれば、私たち被害者の意向を酌んでもらい、証拠の絞り過ぎに歯止めが掛けられ、結果的に裁判員の理解を助けることになるのではないかと思っている。

犯罪被害者基本法には、被害者にはその尊厳が尊重される権利があるとうたわれており、同法では、刑事司法は公の秩序維持とともに、犯罪被害者のためにもあると定められている。裁判員裁判でも、被害者を尊重し、被害者の従来あった姿そのままを見てもらい、本当の被害の現状を知ってもらいたいと思う。

私たち被害者は、通常の生活をやりくりして遠方から裁判に参加しているが、その横で、裁判員だけが受けられるサービスがあることに私たちは気付いた。保育や介護サービス、決まった回数の心理カウンセリング、電話相談についてである。裁判員が数日間の裁判に関わることでカウンセリングが必要になるくらい精神的負担が生じる場合があるのも十分分かるが、それは、被害者又は遺族にとっても同様である。また、保育や介護については、殺人や交通事犯も含め、常時必要不可欠なことである。介護を担わなければならない遺族が裁判所に通うことができない現状もあることから、被害者も裁判員同様、最低限、保育、介護、カウンセリングを受けられるようにしていただきたいと思う。裁判員への負担を軽減するだけではなく、被害者の負担も軽減していただきたい。

最後に、裁判員裁判で裁かれる事件は、より罪の重いものだと聞いており、それだけに、被害者や遺族には、事件の記憶を呼び起こすことはとても大きな悲しみ、苦しみを伴う。しかし、それでも真実が知りたいということから、裁判に挑むという苦渋の決断をしているということを裁判員の皆様にはまず知っていただきたい。特に遺族は、亡くなった家族のために、自分自身を犠牲にしてでも真実を知りたいと思う。裁判員裁判の制度が今後より多く活用され、被害者の命の重みと人を裁く重みが多くの人に伝わり、社会、多くの人が犯罪を犯してはいけないと思ってもらえるように運用されていくことを切に望んでいる。

泉澤参考人からの御意見は、次のとおりです。

裁判員裁判を導入したときに、私たち弁護士の間でも様々な意見があり、今までの硬直化した裁判、官僚的裁判を、国民の司法参加、一般の市民の方々の社会常識を反映させることによって打破するという意味もあるのだろうという意見もあった。裁判所法1条には、「司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資する」と書かれているが、国民の司法参加への一般市民の社会常識を反映ということは書かれていない。当初あった解説によれば、現在の刑事裁判は基本的にきちんと機能しているという評価を前提として、新しい時代にふさわしく、国民にとってより身近な司法を実現するための手段として導入されたと、ある裁判官の方が解説で書かれているが、果たしてそうであろうか。

裁判員裁判が施行された2009年5月21日以降、非常に大きな刑事司法をめぐる状況の変化があったと思う。1つは足利事件。これは同じ年の5月にDNA鑑定が他人であるということが分かった事件で、私もその弁護団の一員として活動していたが、この足利事件、また布川事件、東電女性社員殺人事件等が再審無罪になるということで、連日マスコミを騒がせたのは御記憶のことだと思う。昨年は死刑事件である袴田事件、まだ即時抗告審が続いているが、再審開始決定が出ている。このように、これまでの刑事裁判において重大な冤罪事件があったのだということが皆さんの目の前に明るみに出たということである。また、厚労省事件、これは最終的には村木さんが無罪になったが、これをきっかけとして、検察、そして裁判所、さらには刑事司法そのものへの国民の信頼がかなり低下したのではないかというふうに思う。このような国民の言ってみれば世論を背景にして、検察の在り方検討会議や法制審特別部会が設置され、新しい刑事司法改革はどうなのだという議論が続けられてきたのだと思う。このような裁判員裁判施行後の事情を見ると、既存の刑事司法は果たして本当にきちんと機能していたのだろうかという疑問が出てくる。現在の刑事司法が基本的にきちんと機能しているという評価を前提とするという当初の理念は、置き換えるべきである。

憲法は刑事手続について詳細な規定を置いており、人権規定の中で分量としても一番多いことになっている。憲法31条以下は、もちろん通常の裁判に関する規定もあるが、40条までが刑事手続に関する規定になっている。なぜ憲法上このような刑事手続に関する規定が詳細に規定されているのか。それはやはり、刑事事件で対象とされる人は個人、被疑者、被告人は国家という大きな権力との間で対峙するという究極の場に置かれるからだというふうに思う。刑事裁判の手続の原則である推定無罪の原則であるとか、疑わしきは被告人の利益、このような原則を前提とした刑事手続は、その一環として、刑事手続の一環としての裁判員裁判制度、これにも当然ながら生かされるべきであると思う。1人の無辜も罰してはいけない、この考え方が前提となって裁判員裁判制度も運用されるべきであるし、また、改正が必要なのであれば改正されるべきであると考える。

その意味で、裁判員裁判の存在意義は、国民の司法参加によって、刑事裁判、この中で特に事実認定があるが、社会常識を反映させて、最終的には誤判や冤罪を防止すること、そこにこそ重点が置かれるべきではないかと、刑事弁護人の立場として考える。事実認定、事実のあるなしについては、裁判官はもちろん慣れてはいるだろうが、プロとまでは言えないと思う。一般市民の方々も、一般の社会の中で生きてきて事実の有無についてはきちんと判断ができる、こういう前提に立っているからこそ、私たちはその国民の常識というものを信頼できるのだというふうに思う。その国民の司法参加の持つ非常に積極的な意義、これを重視して裁判員裁判制度を運用すべきであると考える。

先ほど様々な冤罪事件が明るみになったという話をしたが、日本型冤罪事件、その構造の分析がされており、様々な原因が言われている。例えば、長期の被疑者、被告人の身体的勾留や、捜査機関による密室取調べ、そしてそこで得られた自白、これが裁判所では非常に偏重される。そして、調書裁判、証拠の偏在、弁護人や被告人の方にはなかなか自らに有利な証拠というものが手に入らない、また弁護人による防御権が弱い等、様々なことが言われている。これらにより今までの重大な冤罪も発生してきたとすれば、それらは裁判員裁判制度が成立することによってどう変容してきたのかということを考えるべきだと思う。もちろん、裁判員裁判制度は対象事件が限られているので、刑事裁判一般の議論にそのままストレートに入らないかもしれないが、裁判員裁判制度が、従来の刑事司法に与えた影響というのは、私はあると思う。長期の身体的拘束はまだ続いているが、保釈率の上昇ということも言われている。捜査機関による密室の取調べは、これはまだ遅々として進まないところはあるだろうが、全面可視化の議論に行っている。自白の偏重と調書裁判については、裁判員裁判公判中心主義によるとされ、またそのような運用もかなり進んでいる。証拠の偏在については、証拠の開示、類型証拠開示や争点関連証拠の開示が進んでいる。また、弁護人の防御権についても様々な試行がなされているという、そういうプラス面も私はあると思う。

いずれにしても、国民の司法参加の積極的意義、これを前進させるような議論を是非していただきたい。また、一体としての刑事司法制度改革、これを是非進めて、更に広めて、刑事司法を本当に国民のものとして、誤判、冤罪をなくす社会制度を、是非つくっていただきたい。

その後、質疑に入り、次のとおり参考人の方々に質問いたしました。

小木曽参考人には、裁判員裁判において、検察官の求刑を上回る判決が急減していることへの評価について伺いました。報道によりますと、裁判員裁判が始まった当初は先例に縛られない判決が増え、最高裁によりますと、検察の求刑を上回る判決が、平成22年から平成25年の間に、それぞれ、平成22年は5件、平成23年は10件、平成24年は19件、平成25年は14件と従来を大幅に上回るペースで推移しておりましたが、平成26年は2件に急減し、平成27年は3月末時点ではゼロとなっています。この傾向については、先例や求刑の位置付けがきちんと理解されるようになったことへの表れと評価する見方もあれば、裁判官の先例重視の姿勢が強まり、評議において裁判員が十分に意見を言えなくなっているというおそれがあるとの懸念する見方もあるようです。この求刑を上回る判決が急減していることについての小木曽参考人の評価もしくは、分析される点について伺いました。

小木曽参考人からは、統計的な数の評価というのはある程度の材料が必要であり、急減しているという評価をしていいかいけないかということを判断するのには、まだもう少し材料が必要なのではないかと考えている。統計的な数値の理解というのは、ある数字に影響を与え得る様々な要素を全部照らし合わせてみて、そして原因と結果の関係があるかもしれないということが言えるかどうかという程度のものだから、十分な材料がないと何とも言えないところであろうと思う。ただ、一方で、性犯罪については裁判員になって量刑が重くなってきているという傾向も統計的には見えるわけであり、一概に最高裁判所のあの判決があったのでみんなが遠慮して刑を下げているという評価ができるというふうに言うことができるかどうかはまだ分からないところである。ただ、上訴審で、ほかの事件と比べて、同じような事実、犯情であるけれども著しく従来の判決と違う判決が下されるということが逆に正しいのだろうかということもあるので、そうしたことを勘案した結果、刑が言い渡されているのであれば、それはそれで健全なことかもしれないとの御答弁をいただきました。

この御答弁につきまして、裁判員裁判において適正な評議が行われていくように、先例を出発点とするよりも、市民の健全な良識ある意見を生かし、反映させるというようなことが、裁判員裁判の趣旨であると思っている旨を述べました。

次に、退職後の裁判官の守秘義務の在り方について伺いました。裁判員の守秘義務の罰則の在り方については、これまでも様々な議論がなされてきたところですが、一方で、裁判官には守秘義務が課せられているものの罰則が設けられていないという現状にあります。

そこで、今後、裁判に関する守秘義務の重要性に鑑みて、裁判官の退職後の守秘義務の遵守の担保策についても何らかの検討をすべきではないかと考えますが、その点についての、小木曽参考人のお考えを伺いました。

小木曽参考人からは、正直なところ、今までその点は考えたことがないが、これは、職業裁判官としてトレーニングを受けてきているので、辞めた後も、職務上知り得た秘密をあちこちでしゃべることはなかろうという事実上の信頼と制度上の担保というのがあったからだろうと思うし、退職後の裁判官が何かあちこちで言って問題になった事例があったという記憶はあるが、それが問題になるほど増えているということではないだろうと思う。、もし何かそういったようなことが今後増えるのであれば、それは何か考えないといけないということになるのかもしれないとの御答弁をいただきました。

この御答弁につきまして、非常に多いというわけではないけれども、そうしたことへの対応、対策というのがないという現状であるので、こうしたことも、今後、先を見据えていろいろと検討していっていただきたいと思っている旨を述べました。

次に、小沢参考人に質問いたしました。本日お配りいただいた資料の中にありました、裁判員と比べて被害者の立場で考えさせられたことというところで、裁判員だけが受けられるサービスがあるということに気付きましたとございました。被害者の方々におかれましては、やはり生活をやりくりして遠方から裁判に参加しているという現状もございまして、小沢参考人におかれましても、小さなお子様がいらっしゃるということで、裁判に臨むに当たっては非常に大変な思いをされたというふうに思います。そこで、私は第一義的に行われなければならないのは被害者の救済であると思っており、裁判員へのそうした配慮等はあるものの、被害者への手助け、配慮等が必要であると考えておりますが、具体的にどのような点で、子育てや介護等をしながら裁判に臨まれる方にとって大変なのかということを具体的に伺いました。

小沢参考人からは、事件当時、息子が4歳で、ある日突然事件に遭い、何の用意もなく、裁判にも関わっていくという状態になったわけだが、一番困ったのはやはり保育のことで、私のうちからさいたま地裁まで1時間半ぐらい掛かるが、大体始まるのが10時、その前に1回打合せをしましょうとか、まず心のクールダウンと考えると、30分前に来てくださいと。しかし、私はそのとき弟も一緒に連れていっていて、車椅子の状態だったため、十分ゆとりを持たないといけないということから、30分よりも前に行かないとその指定した時間に行けないということがあった。その時点で、私の地元で息子を預けようと思ったときに、やっているのが8時からとなってしまうともう間に合わない。子供を連れて裁判に行くのか、それとも全然知らない地域で子供を預けるのか、どういうふうにしたらいいんだろうと思ったときに、最終的には、しばらくしてから地域のそういうサービスというのがあるというのを知ったわけだが、そうだとしても、やはり子供を安心して預けて、行って、また、裁判が5時に終わりました、そこから検察官の説明を聞きました、そこから帰ると、子供はもうあっという間に寝ており、そこまでの間、どう子供の育児をしたらいいんだろうということで、非常に大変な経験をした。また、介護に関しても、私は祖母を見なくてはいけないというのがあったので、やはり、すぐ簡易的に預けられる場所というのが、もっと前に言わないといけないと言われたのだが、そこに関しても少し猶予をいただけたらいいなと思った。両方を考えると、私たち被害者というのは非常に、精神的な負担もそうだが、肉体的な負担、それから金銭的な負担も掛かる。では、どうしたらここを全部解決できるかというと、やはり被害者の条例というものがしっかりと県や市でできれば、そして、そこに私たちが子供たちを安心して預ける場というものがあれば、随分クリアになるのではないかと思うとの御答弁をいただきました。

この御答弁につきまして、やはり国としてもそうした被害者の立場に立った救済、手助け、配慮といったことへの取組を進めるよう、今後本委員会でも是非提案させていただきたいとの旨を述べました。また、先日は、子育てをされながら裁判員を務められている方たちの環境整備ということで取り上げさせていただきまして、そうした保育サービス、全国では有料のところもあるし無料のところもあるしというような現状で、なかなか子育てをしながら、また介護をしながらという現状が大変なんだという裁判員の方もいらっしゃいましたので、しっかりと取り組むべき姿勢が必要だなと改めて感じさせていただいた旨も併せて述べました。

次に、泉澤参考人に、これまでに多くの被告人の刑事弁護に携わってこられたということで、裁判員裁判における公判前整理手続に被害者側弁護士を参加させてほしいという要望についてはどのように考えておられるのかについて伺いました。

泉澤参考人からは、公判前整理手続がそもそもどうあるべきかということの中で、実は、刑事弁護をやる弁護士の中でもいろんな意見があった。例えば、公判前整理手続をなぜ公開できないのかというものであったり、被告人の方が求めたら公開すべきではないかというようなものがあった。それはなぜかというと、公判前整理手続であってもやはり裁判の一過程であって、そこで争点が絞り込まれたり証拠が絞り込まれるわけであって、そこを、被疑者、被告人の立場からいっても、例えば、被告人ももちろんのことながら、それを支援する人たちも見たい、裁判が今後どうなるかを見たいとなるので、密室の公判前整理手続はいかがなものかという議論があった。仮に同じような文脈でいえば、被害者参加が認められるのであれば、公開の中で被害者の代理人の方が来るということもできるというふうに思う。ただ、今、公判前整理手続自体を原則として公開するということはもちろんしていないわけであって、法曹プラス被告人も来ることはあるが、そういう場でのみやっていると。そこで仮にもしもいろんなことが決まり、ある種の例えば心証を得たということになれば、残念ながらそれは、公判というのはセレモニーにしかすぎなくなる可能性があるわけである。私は、それは全然いい制度運用だとは思っていなくて、ほとんどの刑事弁護人もそう思っていると思う。なので、個人的な見解であるが、ある一定の要件の下に公判前整理手続は開放する、公開するものだというような考え方があってもいいのではないかと思っているとの御答弁をいただきました。

最後に、貴重な御意見をいただいた参考人の方々に御礼申し上げ、質問を終えました。


政府開発援助等に関する特別委員会質疑

2015年5月27日(水)

  • 政府開発援助等に関する特別委員会2
  • 政府開発援助等に関する特別委員会1

政府開発援助等に関する特別委員会が開催され、2月10日に閣議決定された開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関し、大変御多忙のところ出席いただきました、NGOネットワーク「動く→動かす」事務局長である稲場雅紀氏、株式会社タイワ精機会長である高井芳樹氏及び、国連人口基金東京事務所長の佐崎淳子氏の3名の参考人の方々に質問いたしました。

まず冒頭に参考人の方々より、御意見をお述べいただきました。

稲場参考人からの御意見の概略は、次のとおりです。

「動く→動かす」は、国際協力NGO75団体が参加をして、2000年から2015年までの途上国の開発についてのグローバルな目標であるミレニアム開発目標に関する政策提言とキャンペーンを中心に行いつつ、基本的に世界の貧困をなくすということをメーンに考えて行動している団体である。

ミレニアム開発目標が2015年までということなので、2016年以降の新しい目標である持続可能な開発目標、サステーナブル・ディベロップメント・ゴールズに関して、現在、特に政策提言やキャンペーンを集中的にやっている最中である。

この持続可能な開発目標とは、2016年から2030年までの世界の開発問題、そして環境問題に関するグローバルな目標ということで、非常に重要なものであり、現在、世界各国が国連で目の色を変えて議論をしている最中である。

こちらの持続可能な開発目標の中心的な肝としては、1つ目は、2030年までに極端な貧困のない世界を実現すること、2つ目が、2030年までに持続可能な世界を実現する道筋を付けるということである。

これまでのミレニアム開発目標は、2000年から2015年までの15年間で、世界の極端な貧困を半分にするために、基礎保健や基礎教育など社会開発を中心課題にして、人々の命を救い、途上国の国家の基盤をつくるということになっていた。そして、このミレニアム開発目標の下で、世界の援助の在り方が量、そして質の面で大きく変わった。

このミレニアム開発目標と持続可能な開発目標の共通点としては、数値目標と期限を設けて達成度が測れるようにすることであり、途上国がメーンの目標で、先進国はどう支援するかということが中心であり、関わりは間接的なものであった。

持続可能な開発目標は、開発だけではなくて、環境問題、特に生物多様性や気候変動等、また産業の在り方、持続可能な世界をつくるということであるので、産業の在り方というのが非常に重要になってくる。人口、エネルギー、そして雇用の問題といったものも含めて開発目標をセットするということになっているので、日本を含む先進国も直接の対象になる。この点で、今までどう支援するかという話をしていればよかったものが、環境や産業にどう取り組むかという直接の課題として非常に大きな目標になってくる。そして、目標の数としては17個、そしてターゲットが169個もあるという、かなり大きな目標になるということである。

基本的に、その持続可能な開発目標の問題設定というのは、全て日本で私たちが直面している問題であるので、地球一個分の生活というものを目指していかなければならない。持続可能な世界への移行と極度の貧困の解消というこの2つを目標として、世界が2016年から2030年までの15年間でしっかり進んでいくということが何よりも大事である。

持続可能な開発目標に関して、我が国の可能性としては、1つは技術革新による持続可能な世界実現への貢献ということである。いわゆる地球一個分の世界を目指すということなので、省エネルギー、リサイクル技術の開発、さらに、例えば全ての人が健康にアクセスできる、保健にアクセスできるということでいえば、医薬品やエイズワクチンなどの新しい医療、保健技術の開発ということも非常に重要な課題になってくる。これはまさに先進国である我が国ができることであるので、こういった技術革新による持続可能な世界実現への貢献というものは非常に大きな可能性ということが言えると思う。

もう1つは、課題先進国としての日本ということで、高齢化や公害というものに直面してきた私たちが、その政策的な新しいアプローチというものをグローバルにどのようにつくって伝えていけるのか、この辺が可能性ということになるかと思う。

我が国の責任ということでは、1つはODAのGNI比0.7%という昔からの目標というものになるべく近づくということが非常に重要なポイントである。2つ目に、テロ、紛争などの根源をなくすため、格差拡大などに切り込むような支援というものをどのようにできるのか、最後に、人間の安全保障に基づく国際協力の強化、特に、貧富の格差を是正できるような強力な行政システムの構築を途上国で行うに向けてどういう形で我が国の知見というものを伝えることができるか、こういったところが我が国の責任ということになると思っている。

高井参考人からの御意見の概略は、次のとおりです。

富山県で精米機メーカーを経営しているが、カンボジアへの進出については、1994年に初めて訪問した際に、フン・セン首相に面会する機会を得て、その際に、カンボジアにとって今何が一番大事だと思いますかという質問をしたら、安定した食料が得られる、安定した外貨が得られることが一番大事ですとおっしゃった。タイワ精機は小さな会社で、精米機メーカーという限られたものを造っていることから、これという応援ができなかったものの、フン・セン首相の非常に純粋な気持ちに打たれ、何とか役に立ちたいということで、モデル農村へミニ精米プラントを1セット寄附をさせていただいたことがきっかけである。

その後、しばらくの空白期間があったものの、ある方との御縁をきっかけに、カンボジアでロングライス用の精米機を開発してやろう、ロングライス専門のいい精米機を開発してやろうという気になり、現地法人をつくった。日本にはそういう米がないため、開発しようとしても試験ができないことから、現地に試験場、研究所を建て、そして日本からも技術者を送り、3年足らず掛かったが、ロングライス用の精米機を造った、ちょうどその頃にODAのお話があり、お世話になったわけである。

1994年に初めてカンボジアを訪問したときに、大使館に行ったら、当時の大使が電話で誰かにすごく怒っていた。言葉が分からないので、しばらく待っていたら大使がにこやかな顔をして迎えてくれたが、そのときに大使が私にこぼしたのは、これはカンボジア人も良くないけれども、先進国も良くないねということであった。カンボジアを甘やかしたものだから、援助が当たり前という国民性ができたんだと。今も、これだけ努力したからこれだけはできるんだと、残りが足りないのでお願いしますというのではなく、丸々頭から応援してくれと、こう言ってきたものだから私は怒っているんだということをおっしゃっておられたが、それは、カンボジアを回ってみると、あちこちで感じることができた。

佐崎参考人からの御意見の概略は、次のとおりです。

国連においては3つの理念がある。1つはミレニアム開発目標、先ほど稲場参考人がおっしゃっていたもので、3番目のゴールがジェンダーの平等の推進と女性の地位向上。2つ目は、国連人口・開発会議の行動計画で、これは1994年に国際会議で採択されたものであり、ここには女性のエンパワーメントを確保するための幅広い措置が必要であると記してある。3つ目は、国連安全保障理事会の決議1325、これは画期的なものであり、女性、平和、安全保障という意味で、安全保障理事会で採択されたものであり、女性の保護、平和構築と和解への女性の参画を保障する行動の枠組みを設定するというものである。

女性のエンパワーメント参加という意味で、まず、経済的エンパワーメントの活動事例であるが、国連人口基金では人口の課題を扱っており、これについて1994年の国際人口・開発会議で、女性の地位向上、女性のエンパワーメント、ジェンダーの平等、女性の保健、リプロダクティブヘルスに投資するというふうに方針が変わってきたということで、女性のエンパワーメント関係のプログラムとしては、新しくできた国連ウイメンよりもまだファンドがあるという状況である。女性へのマイクロクレジットのプロジェクトの支援、あと出産時の疾病、例えばフィスチュラなどに伴い社会的に疎外され差別されている女性を対象とした職業訓練をしたり、あと経済的また社会的な政策、貧困削減戦略においてジェンダー視点が組み込まれるための支援をしている。

次に、教育・保健分野におけるエンパワーメントであるが、世界で読み書きができない人の3分の2は女性である。女性の教育レベルというものは、乳児死亡率とか出生率、あと子供たちの経済的機会に深く関連しており、また母親の教育というものは女性の教育レベルに深く関連してくる。国連の機関としての活動事例としては、リプロダクティブヘルスを中心とした識字プロジェクトやカリキュラムの開発プロジェクト、また出産後の少女の学校への復帰プロジェクトなどをしたり、あと男性の参画に向けた支援、ニジェールで、アフリカであるが、夫の学校というプロジェクトをやっている。今、女性の地位向上、ジェンダーの平等のためには、男性の参画がなくては成功しない。また、男性のリーダーシップを必要としている。出産後の少女の学校復帰ということであるが、やはり児童婚が多い。児童婚で早くから結婚した人たちは学校に帰らないということで、世代間の貧困がはびこるということになっております。

次に、政治的、社会的、法律的エンパワーメントであるが、多数の国で女性は土地を所有すること、また貸付けを受けること、相続することの権利を持っていない。また、政治参加の割合も非常に低い。国連人口基金の活動としては、ジェンダー平等に関する法律確定の支援をしたり、あと性別による差別撤廃に向けたアドボカシー、またジェンダー・ベース・バイオレンス、これはジェンダーに基づく暴力の予防、保護、回復の支援をしたり、女性のエンパワーメントに関する法律、政策の支援のために開発途上国の国会議員とのパートナーシップを確立している。

平和構築プロセスにおける参加であるが、これはあらゆるレベルの意思決定で女性の参加と代表を増大させることが必要であると考える。紛争終結後のプロセス、平和支援の活動にジェンダーの観点を取り入れることが大切である。国連のプログラムの策定、あと報告、安全保障理事会のミッションにジェンダーの観点を入れることが必要である。また、国別行動計画の策定を各国に要請している。国連人口基金の活動としては、例えばコロンビアで平和プロセスに参加している女性団体を支援をしたり、あとは、ニカラグアでのジェンダー・ベース・バイオレンス、これはジェンダーの暴力に基づく対策であるが、最高裁判官も女性であったので参加しておられた。

次に、日本における女性参加の状況であるが、国会議員の割合が世界142か国中117位、9.5%と、非常に低くなっている。1位はルワンダ、63.8%、スウェーデン5位、ドイツ20位、中国55位、アメリカ73位というランキングである。

また、日本のジェンダーギャップ指数というもので、これは世界経済フォーラムで出しているものであるが、2014年、日本は何と142か国中104位であった。これは、やはり先進国、開発の援助をするドナーカントリーとしては非常に低い。経済活動参加のランキングが102位、教育93位、健康・生存率37位、政治権限は何と129位となっている。

日本が取り組む女性が輝く社会であるが、御存じのように、安倍総理が2013年9月の68回国連総会で、グローバルな課題として、女性の能力強化、また権利の保護、促進の分野で国際社会に対して協力をするという発言をされた。重要な政策としては、女性の活動、社会進出の推進、あと能力強化。2番目が、女性の保健医療分野における取組の強化。3番目が、平和と安全保障分野における女性の参画と保護という面である。

安倍総理は、2013年から2015年の3年間に30億ドルのODAを女性のエンパワーメントのために実施するとコミットされた。それで、2013年の1年間で18.4億ドルの支援を実施済みである。その他の日本の取組としては、安全保障理事会の決議1325、女性・平和・安全保障という名前でございますけれども、国別行動計画を市民社会とともに策定する。これは、日本で今、内閣府、外務省、あと市民社会が中心となって行っている。

次に、自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントについては、日本がイニシアティブを取り、2014年3月の58回国連婦人地位委員会に提出され、採択されている。

次に、国連防災国際会議については、本年3月に仙台で行われたところであるが、そこでの成果文書の中に、日本が指導原則の1つとして、女性と若者のリーダーシップを推進するということを主張し、採択された。

今後、日本に期待したいことであるが、安倍総理が女性が輝く社会にコミットされた30億ドル、これは2015年までであるため、やはり2016年からも継続していただきたい。

2番目は、全ての協力プロジェクトにおいて、これは女性関係に限らず、インフラ、先ほど高井参考人がおっしゃったお米のプロジェクトにしても、全てにおいてジェンダーの観点から、その援助がどういうふうに女性に影響していて、ベネフィットしているかどうかということを見ていただきたい。

3番目は、全ての女性のプロジェクト、エンパワーメントのためには男性の参画が大変必要であるので、リーダーシップが必要であると。そういう意味では、安倍総理のリーダーシップは、非常に日本としては、国際社会においてほほ笑ましいことである。

あと、日本がやはりお手本となるように、日本国内の女性のエンパワーメントをすることが大切だと思っている。また、安倍総理が挙げている2020年までに女性の管理職を全体の30%にすることの実現、そのためには個々の男性の理解と協力が必要であると思っている。男性も育児休暇を取りやすくする環境づくり、育児休暇を取ることによって尊敬されるような社会をつくり上げるべきである。そして、女性の考えや意見が重要政策案に反映され、決定権が施行できるような体制をつくり上げること、会議の時間がやはり五時を過ぎないこと、あと、男性の理解と協力がそのためには必要であると思っている。

その後、質疑に入り、次のとおり参考人の方々に質問いたしました。

佐崎参考人には、国際機関に対する我が国の拠出について伺いました。我が国のODA予算は、一般会計当初予算ベースで見てみると、1997年度の1兆1687億円をピークとして、2015年度では5422億円と、ほぼ半減しているという状態となっており、その影響は開発、人道支援関係の国際機関に対する拠出金にも表れており、国連人口基金への我が国の拠出は、1986年から1999年までの間、第1位でしたが、2013年には8位になりまして2490万ドル、1ドルを120円で換算しますと29億8800万円にまで後退してきています。こうした現状を踏まえ、国連人口基金への我が国の拠出が減少していることに伴う影響について伺いました。

佐崎参考人からは、非常に残念なことに、ODAが半減することによって国連人口基金への拠出金も半減した。やはり、国連機関においては、拠出金が半減することによって発言権は残念ながら少なくなってくる。それと、やはり、拠出金が減ってくると、なかなか日本人のスタッフを入れるとかというのに対しても、非常に政府としては努力していらっしゃるが、それは非常に難しくなる。例えば、日本が拠出金第1位だったときには、アシスタント・エグゼクティブ・ダイレクターといって、事務局次長は必ず日本人であった。その頃は男性だったが、男性が四代続いて、それから、もうそのポストはカットされ、ほかの国に回された。その前までは、D2レベルといってダイレクターレベルのもいたが、それもカットされ、現在はいない。ということで、やはり発言権が減ってくるということと、日本のODAでサポートしたいというところがなかなか反映させられなくなるということで、非常に負の影響は大きいと思うとの御答弁をいただきました。

次に、高井参考人に質問いたしました。カンボジアは我が国がこれまで法制度整備支援に力を入れてきた国であり、民法や民事訴訟法の制定や法律人材育成などを支援するなど、成果を上げてきているものと認識するとともに、タイワ精機がカンボジアへの展開を進めておられることは、今後、海外展開を考えている中小企業の経営者の方々にとっては大変参考になるものと認識していることを述べた上で、我が国のODAを通じ、JICAや大使館などからの情報提供などがどのように行われてきたのかについて伺いました。

高井参考人からは、富山県にゆかりのある方で、ある時期、北京大使をしておられた谷野さんという方から、色々なアドバイスをいただいた。日本の経済人は、海外に来ても大使館に寄らない、領事館にも寄らないということ、そして、大使館、領事館に寄ってもらいたいということを盛んに言っておられた。私はなるほどと思って、それからは領事館のあるところは領事館に寄るようにしているし、大使館はもちろん寄るようにしている。私は、カンボジアへ初めて行ったときにはすぐ大使館に飛び込んだ。突然行って、本当に御迷惑だったと思うが、そうすると、何というか、新聞やテレビでは見えない、聞こえない大使館の物の見方、例えばカンボジアの国民性はこうだよとか、あるいは、まだ公式に発表されていないけれども日本政府はこういうことをやろうとしているんだよという、色々なな情報がいただける。そういうのに、何で来ないのかなということを大使館の方がおっしゃるわけだが、私が言いたいのは、大使館の方も忙しいのであろうが、できるだけ積極的に大使館、領事館に経済人は寄るべきであると思っているとの御答弁をいただきました。

次に、稲場参考人へ人間の安全保障について質問いたしました。

ミレニアム開発目標の目標達成期限となる本年は、まさに2015年以降の新たな持続可能な開発目標策定に向けての動きが佳境を迎えるタイミングでもあり、人間の安全保障について、開発協力大綱では、その考え方が国の開発協力の根本にある指導理念であるということを明確に打ち出していますが、この考え方に対する国際社会における理解の現状についての御認識や、新大綱の下で、我が国が人間の安全保障を指導理念とすることを国際社会でアピールしていく上で、特に重点的に取り組むべき課題であると考えられるところはどのようなところにあるのかについて伺いました。

稲場参考人からは、この人間の安全保障というのは、我が国が90年代の後半以降、打ち出した理念であり、その背景としては、やはり97年のアジア経済危機のときに、IMF等が経済苦境に陥ったアジア諸国に対してかなり強硬な経済緊縮策を強制したと。その結果、人々の生活がぼろぼろになって、インドネシアなんかも大変なことになったわけだが、これに対して、我が国としてはこういうやり方では駄目だと。では、どういうやり方が必要なのかといったときに、いわゆる人間の安全保障、一人一人の個人に焦点を当て、その弱いところを補っていくために能力強化をしていくと、そういうようなところで、なおかつ、コミュニティーのボトムアップといわゆる政府のトップダウンという、この2つで人々の生活向上や、人間の尊厳を図るというのが日本の人間の安全保障の考え方である。

これは基本的に、グローバルな観点でいえば、いわゆる人間開発であるとか、あるいは人権、特に社会的な人権を重視するというMDGsの考え方と非常に響き合ったわけである。その結果として、いわゆる人間の安全保障というのも、かなりそれなりに国際的に広範な支持を得ることができたということがあるかと思う。これはまさに、日本の成功した価値観外交であると言うこともできると思う。そういう意味合いで考えたときに、このODA大綱にはまさにそのように書かれてはいるが、一方で軍事協力であるとか、あるいはもう一方で日本の経済成長のためのODA活用であるとか、こういうところがある種、実質的にかなり出過ぎてしまっているがために、人間の安全保障というのが若干弱まっているのではないかということをNGOとしては懸念している。そういう意味合いで、やはりSDGsというのはまさに持続可能な世界というところであるので、この持続可能な世界を目指すということでいえば、まさに人間の安全保障が指導理念である。そういうようなところで、我々としては、このSDGsに調和化するためにも、人間の安全保障の旗というのは是非下ろさずに高く掲げてほしいと思っているとの御答弁をいただきました。

最後に貴重な御意見をいただいた参考人の方々へ御礼申し上げ、質疑を終えました。


法務委員会質疑

2015年5月26日(火)

  • 法務委員会質疑1
  • 法務委員会質疑2

法務委員会が開催され、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の一部改正案について、質疑を行いました。

本改正案は、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律の施行の状況に鑑み、審判に著しい長期間を要する事件等を裁判員の参加する合議体で取り扱うべき事件から除外することを可能とする制度を導入するほか、裁判員等選任手続において犯罪被害者の氏名等の情報を保護するための規定の整備を行うものです。

今回の改正案の柱の1つである、長期間の審判を要する事件等の対象事件からの除外は、審判に要すると見込まれる期間が著しく長期にわたる事件等について、例外的に裁判員の参加する合議体で取り扱う事件から除外し、裁判官のみの合議体で審判を行い得ることとするとしています。そして、この長期間の審判を要する事件を裁判員裁判から除外することについては、裁判員制度導入時に議論された、司法制度改革推進本部の裁判員制度・刑事検討会においても議論の対象となっていました。

その中では、裁判員制度の導入に関し、一般の方々が裁判に主体的に参加し、国民の健全な常識が裁判に反映されることによって、裁判と一般の国民との距離が近くなり、責任も負っていただけるようになることを通して国民的な基盤を確立していくということや、現在の職業裁判官による裁判が正常に機能しているということを前提に、非法律家である裁判員を加えることによって、国民の司法に対する理解を深める、あるいは支持を深め、そのことで刑事司法に、より強固な国民的な基盤を得ることにつながるという見解が示された一方で、裁判員の役割である量刑については、裁判員が本当に多くの影響を及ぼすかというと、実際上余りあり得ない、また裁判員が独自の意見を述べて、これはすごい意見だということはあり得ない等の議論が展開されましたが、これを受けて、報道におきましても、素人に期待は禁物、感情に流された素人判断とも出ていました。

このように、当時の裁判員裁判を導入する時点において、このような背景と今回の法改正を照らし合わせてみると、長期間の審判を要する事件等を裁判員裁判の事件対象から除外するということは、裁判員の方々の負担軽減の側面からも考えられているということもあるようですが、除外の明確な理由等については何であるのかということを感じている旨を述べました。

また、裁判員裁判の制度が導入されてから6年が経過しましたが、この間、裁判員裁判では、有罪判決が言い渡されたものの上訴審において無罪が確定した人員は、平成23年は2人、平成26年は3人と、合計で5人となっています。

そして、死刑判決が言い渡された人員は、平成21年はゼロでしたが、22年は3人、23年は9人、24年は3人、25年は5人、26年は2人、27年は3月末までで1人となっており、これまでで合計23人となっています。

そこで、今回、長期間の審判を要する事件等を裁判員裁判の対象事件から除外し得るという法改正を行おうとするわけですが、除外の明確な基準、また理由等というのはどういったところにあるのかについて伺いました。

法務省からは、今回、著しく長期にわたるような事案について、裁判員裁判から除外するということの理由については、非常に著しく、裁判員となる一般国民に負い切れない過重な負担を課すような事案について、あくまでも例外なく国民に裁判員制度への参加を求めるとすれば、本制度のそもそもの目的である、司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上を図るという、裁判員制度の趣旨に反してしまうということがその理由である。その上で、裁判員制度対象事件からの除外についての基準であるが、裁判員制度の趣旨自体を今回の法律案で変えるわけではないので、これまで裁判員の参加する合議体で審判することが可能であった事案と同程度の審判期間となる事案については、今後も、通常、裁判員の参加する合議体で取り扱われることとなると考えられる。そのために、今回の法改正によって除外しようとする事件になると、裁判員制度の施行後、現在までに生じたことがないような審判期間あるいは公判期日等の回数を要する事案ということになる。そうすると、事柄の性質上、具体的に審判期間とか公判期日の回数がどの程度になるのかといった具体的な基準を示すことは困難である。したがって、法文上は今回、具体的な基準、審理期間を何日とか公判期日の回数については何回とか、こういった具体的な基準を示していないところである。結局、そういうことから、どの程度であれば、これが例えば著しく長期に該当するのかということについては、こういった法改正の趣旨を踏まえ、個別具体的に裁判所が判断することとなる。どのような場合に対象事件からの除外の決定がなされるかについては、裁判所において判断されるわけだが、法律案の中では対象事件からの除外決定の要件というものは厳格に定めており、また、その除外決定の判断となると、これは、当該事件の公判審理を行う受訴裁判所とは別の裁判官の合議体が行う。その判断に対しても即時抗告という形での不服申立てが可能となっている。こういったような、ある意味、恣意的に裁判員制度対象事件からの除外が行われることがないような制度上の仕組みも設けた上で、今回の除外の決定ができるという改正を行おうとするものであるとの御答弁をいただきました。

次に、裁判員裁判が導入されてから6年が経過しましたが、やはり今後、この裁判員裁判は重要な役割を果たすと考えておられるのか、また期待される点として、どのような点があるのかについて上川大臣に伺いました。

上川大臣からは、平成21年5月の裁判員裁判の施行後6年ということで、様々な運用をする中で広く国民の皆さんが裁判の過程に参加していただく、そして、その感覚が裁判内容にも反映されることによって、法に対しての国民の皆さんの理解や支持が深まる、さらに司法がより強固な国民的な基盤を得ることになるということで、本来の趣旨に照らして考えてみると、その期待された効果についても一定の評価がなされるものではないかと考えている。その意味で、国民の間にも定着してきつつあるということで、前向きに評価している。また、今後については、更に多くの皆さんに裁判員を経験していただくということであり、その意味で、国民の皆さんの司法に対しての理解と支持が深まり、さらには司法への信頼が高まっていくということが大変大事であると考えており、こうした期待を実現することができるように、法務省として制度の更なる運用改善についても努力してまいりたいと思っている。 また、今回の法律の改正において、審議の過程で指摘いただいていることについても真摯に受け止め、その対応を含めての検討もしてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

次に子育て中の方が裁判員を務める場合の環境整備について、今月1日には、公判回数が39回と裁判員裁判で過去最多であった裁判が判決を迎えましたが、在任期間が実に113日にも及んだ裁判員を務められた子育て中の女性も、子育てをしているので大変だった、行政が優先的に託児所を割り当ててほしいとの希望を述べられていることも踏まえ、子育て中の女性が裁判員を務める場合の一時保育サービスの利用の在り方について取り上げました。このことについて、私は、平成25年11月5日の法務委員会における一般質疑で、一時保育サービスの利用に際しては、自治体によって有料のところと無料のところがあるので、子育て中の女性で裁判員に選任された方が裁判に参加しようという希望に沿えるよう、国としてしっかりと環境整備に取り組むべきとの趣旨の質疑を行いました。その際、法務省からは、平成21年に設けられ、平成25年6月に報告書を取りまとめた、裁判員制度に関する検討会において、育児をしている方々あるいは小学生の子供を持っている方々がより参加しやすい制度とするにはどうしたらよいかについての議論がなされ、検討会における最終取りまとめの中で、その運用に関する様々な問題については、今後とも裁判員裁判の実施に関わる法曹三者等においてより良く運用され、ひいては司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することを期待するとされたところであり、こうした議論も参考にしながら実務の運用に更に努めていくものと承知しているとの御答弁をいただいたところです。そこで、その後、裁判所として各地方自治体に対し、子育て中の裁判員が一時保育サービスを利用する際における配慮に関する取組、また働きかけ等を現在どのように行っているのかについて改めて伺いました。

最高裁からは、保育サービスの実施体制の確保について、裁判員制度の施行に向けて、各地方裁判所に対し、裁判員裁判実施庁の所在市との間で保育サービスの情報提供の在り方について協議するように依頼する旨の書簡を発出し、これを受けて、各地方裁判所と所在市との間で協議が行われたところである。各地方裁判所では、制度施行後、この協議等に基づき、裁判員候補者の方々に一時保育サービスを御利用いただけるよう、保育施設の御紹介等に関する案内文書を送付するなどして、必要な情報の提供に努めているとの御答弁をいただきました。

次に、最高裁判所から全国の区市町村に対して、一時保育サービスの利用について働きかけをされているというところではあるものの、現状、区市町村において、無料、有料を含めてどのような状況になっているのかについて伺いました。

最高裁からは、全国の区市町村において裁判員候補者に提供している一時保育サービスが有料であるか無料であるかといった情報を網羅的に把握しているわけではないが、東京地方裁判所から聴取したところでは、平成26年度には、東京23区内において、一時保育受入れ可能な保育施設として各区役所から裁判所に情報提供があった施設は700を超えており、そのうち、半数近い300を超える施設では裁判員等の一時保育サービスを無料としているとのことである。また、東京地方裁判所においては、このような保育所の利用料金のほか、利用時間、申込み方法等の情報について1年ごとに東京23区から情報提供を受けており、育児中の裁判員候補者から問合せがあった際に、保育施設に関する情報をお知らせするなどして役立てているところであるとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、子育て中の方が裁判員を務めるにふさわしい環境の整備が、今後更に求められてくるものであると思われるので、希望する方が一時保育サービスを利用しやすくなるような環境の整備を行っていただきたい旨を述べました。また、これまでは、宿泊費以外の雑費等については、保育サービス料も含めて日当として支払われている分から、そのものを全部本人が支払っていくというような現状にあると思いますので、ただいまお話しいただきましたことも含め、今回の法改正で、そこが見直されるのかといったらそうではないかもしれませんが、今後そうしたことも含め、裁判員の方のための環境の整備というものを是非行っていっていただきたいということも併せて申し述べました。

そして、このことについては、5月15日の衆議院の法務委員会での法案採決時に、附帯決議の項目の1つとして、事業者による特別な有給休暇制度の導入などの職場環境改善の促進、保育所・学童保育等を日常的に利用していない者がこれらの施設を利用することの確保等、できる限り国民が裁判員として裁判に参加できるような環境の構築に向けて、更に積極的に取り組むことを付することが全会一致で決定されたところですが、今後更なる具体的な取組について、上川大臣に伺いました。

上川大臣からは、衆議院における審議の結果として、5月15日の衆議院法務委員会における法律案の採決時に、御指摘の内容を項目の1つとする附帯決議が全会一致で可決されたということを、大変重く受け止めているところである。裁判員制度そのものが、国民の皆さんの一般の感覚を裁判に反映させるという趣旨に照らして考えると、保育所、学童保育の利用等、保育や育児をしている方々についてもしっかりと参加しやすい環境を整えていくということは、積極的な参加をいただく上でも大変重要なものであると考えている。これまでも、法務省においても様々な環境整備に努力してきたところであるが、なお課題も多いということであり、さらに、附帯決議に盛り込まれたことについては真摯に受け止めながら、また最高裁判所や関係府省とも連携をしながら、参加しやすい環境整備について、更に努力をしてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

こうした答弁を受け、今回は、子育て中に裁判員を務めていただける方ということで取り上げましたが、さらには仕事を持っている方であったり、さらには介護中の方であったり、様々な方々がいますので、そうした方たちへの環境整備等も含めて、今後更に改善していただきたい旨をお願いさせていただきました。

次に、通訳を要する事件の裁判員裁判を担う法廷通訳人に関する現況の課題について取り上げました。

法務省の統計によると、我が国に入国する外国人の数は平成24年から急激に増加しており、24年の917万2146人から、25年は1125万5221人、26年には1415万148人と、前年に比べ約290万人、率にして25.7%の増加と、過去最高になったとのことです。そのような影響もあってか、警察庁の統計によると、来日外国人犯罪の総検挙件数・人員は、平成16年は4万7128件で2万1842人、17年は4万7865件で2万1178人というピーク時と比較すると、近年低い水準で横ばいを続けていましたが、平成25年は総検挙件数・人員共に僅かながら増加に転じ、平成26年には総検挙件数は1万5215件と、前年比で二百四件減と僅かに減少したものの、総検挙人員は1万689人と、前年比で805人増加したということでありました。また、平成26年の統計と、来日外国人犯罪の検挙が顕著に増加し始める以前の平成2年とを比較すると、総検挙件数は平成2年の6345件の約2.4倍、総検挙人員は平成二年の4770人の約2.2倍と高い水準にあるという現状になっています。

このような来日外国人犯罪の現状を踏まえますと、日本語が分からない外国人が日本の裁判に関係する場合に、その外国人がきちんと裁判に関与できるように法廷等での発言を通訳する通訳人が必要となります。通訳人は、例えば被告人が外国人である刑事裁判においては、被告人の発言を日本語に通訳し、裁判官、検察官、弁護人、証人などの発言を外国語に通訳して、日本語が分からない被告人と裁判官、検察官、弁護人などとの間の橋渡し役となるわけです。こうしたことを通じて通訳人は、被告人の人権を保障し、適正な裁判を実現する上で非常に重要な役割を果たしていただいております。そこで、どのような言語の事件であっても、能力のある通訳人を付ける必要があると考えられますが、このような法廷通訳人を確保するために裁判所としてどのような取組を行っているのかについて伺いました。

最高裁からは、裁判所では具体的な事件において裁判官が速やかに適切な通訳人を選任できるよう、法廷通訳人候補者名簿を作成しているところであり、より多くの通訳人候補者を確保できるよう、法廷通訳に関するリーフレットを大使館や領事館、各地の大学、語学学校、国際交流協会等に配付したり、裁判所のホームページにおいて通訳人候補者の募集を行うなど、通訳人候補者の確保に向けた広報活動も行っている。今後も、こうした取組を通じて、通訳人候補者の確保に努めてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

この答弁に対して、こうした取組は非常に重要であると思う旨を述べた上で、法廷での通訳ということから、通訳される方に裁判手続等の理解をしていただくための取組についても、併せてお願いをいたしました。

次に、裁判員裁判は、他の裁判と異なりましてほぼ連日開廷であり、また、口頭主義を重視しているため、通訳人の負担増が懸念されているところであり、静岡県立大学法廷通訳研究会による「2012   法廷通訳の仕事に関する調査報告書」における法廷通訳人を対象としたこれはアンケート調査の集計結果を拝見したところ、そこには、裁判員裁判を経験した調査対象者の8割が負担が増えたと感じており、その理由としては、集中審理により連日公判があり、翌日の準備時間が足りないこと、また、拘束時間等が延びたことや、裁判員裁判で弁護側が冒頭陳述や最終弁論に力を入れることと関連して、翻訳が必要となる書類が多く、準備の時間が足りないことなどが挙げられていることを述べました。

また、最高裁判所事務総局調べによる、刑事事件における要通訳事件の通訳料の予算額を見ると、平成18年度の6億8673万5千円をピークに減少しており、裁判員制度が導入された平成21年度からは2億円台で推移してきているという現状でした。そこで、裁判員裁判では法廷通訳人の業務量や負担が増えているようですが、この裁判員裁判における通訳に関する報酬基準というのは設けられているのかについて伺いました。

最高裁からは、法廷通訳人に対する報酬については、刑事訴訟費用等に関する法律7条において、裁判所が相当と認めるところによると定められており、各裁判体が個別の事件ごとに決定すべきものとされている。したがって、例えば最高裁判所が通訳人の報酬について基準を定めるようなことは、この法律との関係で問題があるため、一定の報酬基準というものは定めていないとの御答弁をいただきました。

その他の質問についても通告しておりましたが、時間が限られているということで、次回の対政府質疑のときにお願いしたい旨を申し上げ、質疑を終えました。


法務委員会質疑 裁判所職員定員法質疑

2015年5月14日(木)

  •  裁判所職員定員法質疑2
  •  裁判所職員定員法質疑1

法務委員会が開催され、午後は、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、質疑を行いました。

本改正案は、民事訴訟事件及び家庭事件の適正かつ迅速な処理を図るため、判事の員数を32人増加し1953人にするとともに、裁判所書記官等を40人増員する一方で、裁判所の事務の合理化及び効率化に伴い、技能労働職員等を76人増員することを通じ、裁判官以外の裁判所の職員の員数を36人減少し2万1954人にしようというもので、今回の法改正により、下級裁判所における事件の適正かつ迅速な処理を図る取組が期待されるところです。平成12年の司法制度改革以降、これまで判事の定員の増員は、例年行われてきており、振り返ると、平成13年6月の司法制度改革審議会意見書において、例えば、裁判官数が足りないことにより、裁判官の負担過多、大型事件等の長期化などの深刻な事態が生じているなどの指摘がされているほか、様々な制度改革等に対応するためには裁判官を大幅に増員することが不可欠であるといった記述が盛り込まれていました。このように司法制度改革では、司法需要に対応した体制の整備が求められてきたところです。そして、こうした審議会の意見書の趣旨にのっとって行われる司法制度改革を総合的かつ集中的に推進するため、その基本的な理念及び方針や国の責務等を定める司法制度改革推進法が平成13年11月に制定されてから15年近くが経過したところですが、司法制度改革における要請に応えるために、裁判所においてはこれまでどのように体制整備を図ってきたのか、また、裁判官の増員という観点から、司法制度改革以降の体制整備を行ってきた現状について伺いました。

最高裁判所からは、司法制度改革審議会において、訴訟の迅速化、専門化への対応など、裁判に対する要請ということが厳しく指摘されたところであり、その中で、裁判所としても人的体制の充実強化、特にその中心となる裁判官の増員を図ることがとりわけ重要であるということで、その後10年間で裁判官約500人プラスアルファの増員が必要であるという意見も述べ、司法制度改革を着実に実行するために平成14年度から平成23年度まで、計画性を持って合計607人の裁判官の増員を認めていただいたところである。この10年間の増員に加え、平成24年度以降も3年間で判事94人の増員を認めていただいたということもあり、民事、刑事事件共に審理期間が2年を超える事件は減少しているなど、相応な効果が出ているところである。ただ、2年を超える民事第一審訴訟事件は、平成26年末の時点で依然8100件というかなりのボリュームがあり、人証調べのある対席判決事件の平均審理期間は19.7か月ということで、なお十分とは言えない状況にあると考えているところである。近時、民事事件の事件動向は落ち着いてきているところではあるが、事件の複雑困難化、専門化が進んできているところであり、そのより納得性の高い丁寧な審理判断を求める声が高まってきている中で、合議率を見ても司法制度改革当時目標とした10%には至っておらず、合議体による充実した審理というのも十分に行われているとまでは言えない状況にある。裁判所としては、本法案で判事32人等の増員をお願いしているところだが、改革審議会後に生じている課題にも対応し、適正迅速な裁判を実現していくために、不断に審理運営上の工夫に努めるとともに、短期的な事件の増減だけではなく、中長期的な事件動向も見て、さらには事件の複雑困難化、専門化の状況を踏まえ、引き続き人的体制の充実強化を図っていきたいと考えているとの御答弁をいただきました。

また、司法制度改革審議会意見書の中では、21世紀の我が国社会における司法の役割として、法の支配の理念に基づき、全ての当事者を対等の地位に置き、公平な第三者が適正かつ透明な手続により公正な法的ルール、原理に基づいて判断を示す司法部門が、多数決原理を背景に政策をまとめ、最終的に法律という形で将来に向かって規範を定立し執行するということを通じて秩序形成を図ろうとする国会、そしてまた内閣の政治部門と並んで公共性の空間を支える柱となければならないとされていたところであり、こうした司法の役割の重要性は現在においても変わらないものと考えます。また、裁判所の体制整備等についても、実際にこうして国会でも法案の審議をしっかりと行っているところですが、そこで、司法における中核を担っている裁判所の体制整備を進めていくに当たっての法務大臣の御所見を伺いました。

上川大臣からは、司法の重要性ということについては、これまでも、またこれからも大変大事であるということであり、とりわけ法の支配の下で自由かつ公正な社会を実現する、この目的に照らして司法権を担う裁判所が事件を適正、迅速に処理していくということが何よりも必要である。そのための体制ということであるが、裁判官を含めた裁判所の体制が充実をしていくということが極めて大事であると思っている。裁判所の体制の充実については、まずは裁判所において判断されるべきところであり、法務省としても、裁判所の判断を踏まえ、政府の立場から引き続き適切に対応してまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

政府においては、平成26年6月24日、女性職員の採用、登用の拡大及び職員の仕事と生活の調和を図るための取組を総合的かつ効果的に推進するとともに、関係行政機関相互の緊密な連携を確保するため、女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会を設置し、同年10月、同協議会において国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組の指針が決定されました。これを踏まえ、仕事と育児の両立の支援促進や育児休業からの復帰後の支援の観点から試行的に各府省において定員上の措置を行うこととされ、裁判所においても、今回、国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進を理由として、裁判所事務官を1名増員するということですが、今回の法改正においてこうした措置がとられるに至った背景について伺いました。

最高裁判所からは、裁判所としても、政府において決定されました取組指針の趣旨を参考にしながら女性の活躍の場ということを考えてきた結果、この取組指針に準じて最高裁の事務総局で同様の取組を行うということで、今回事務官1名の増員をお願いしたところである。これは試行的な取扱いであるので、まだまだその活用について未知数な部分もあるが、人数も1人ということではあるものの、貴重な1名の定員を十分に活用して、子育てをしている女性職員であっても育児のための制度を積極的に利用しながら仕事でも活躍できる体制整備ということでその効果が出るように努めてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

取組指針の中にもあるとおり、少子高齢化の進行とともに生産年齢人口が減少する中で、我が国の経済社会が持続的に発展していくためにも、我が国最大の潜在力である女性の力を最大限発揮できるように、女性が輝く社会を実現することが大変重要であると私も考えております。そのためにも国が率先して今後更に女性職員が活躍できるような環境を整備し、ワークライフバランスを推進していく必要があると思われるので、裁判所におけるこれまでの、あるいは今後の女性職員の採用や、積極的登用、またワークライフバランスの推進のための取組について伺いました。

最高裁判所からは、裁判所においては、これまでも女性職員の採用、登用の拡大や職員のワークライフバランスの推進に取り組んできたところである。これからも女性職員の登用拡大や職員のワークライフバランスの推進に向け、職場での仕事の進め方の見直しや職員の意識の改革、仕事と家庭生活の両立に向けた支援のための環境整備、女性職員の活躍推進に向けての意識啓発や職務経験の付与など、女性職員の登用拡大やワークライフバランスの推進に取り組んでまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

この答弁に対し、裁判所においては、育児休業また配偶者出産休暇、育児参加休暇、子の看護休暇、そして介護休暇等、ワークライフバランスを推進するための各種制度が設けられており、裁判所におかれては、男女共に働きやすい環境づくりに取り組んでおられることも承知いたしておりますし、今後とも、その取得や推進、そして女性職員の積極的登用による活躍の場の拡大も含めてお願いさせていただきたい旨を述べ、質疑を終えました。


法務委員会質疑 一般質疑

2015年5月14日(木)

  • 法務委員会質疑 一般質疑2
  • 法務委員会質疑 一般質疑1

法務委員会が開催され、午前は法務及び司法行政等に関する調査について、質疑を行いました。

我が国における外国人や外国資本等による土地の所有、そして、利用に関する法律は、明治時代当初の外国人等に土地の取得を認めない時期を経て、大正14年に制定され、翌年施行された法務省所管の法律の外国人土地法があります。これは外国人等に土地取得を解禁することを目的として制定されたものですが、大きく2つの例外を規定しています。1つ目は、同法第1条において、外国人等に権利を与える際、その外国人の本国が自国民に同等の権利を与えることを条件とする相互主義を採用し、外国が日本人による土地取得を制限する場合には政令を指定して当該外国の外国人等について日本における土地取得の制限をすることができる旨を規定していること、そして、例外の2つ目は、国防上必要な地区についてのもので、同法第4条において、こうした地区については政令によって外国人等による土地取得を制限できる旨を規定していることです。しかしながら、このような例外について、1つ目の相互主義に基づく政令はこれまで制定されたことはなく、また、2つ目の国防上必要な地区を定めた政令は、戦前に一度制定されたものの、昭和20年に廃止されており、それ以降はこの件に関する政令も定められたことはないという現状にあります。こうした現状を踏まえ、外国人土地法が現在もなお我が国における外国人や外国資本等による土地の所有の法体系の一翼を担っているという現状について、法律を所管している法務省としてどのように考えているのか、また、この外国人土地法が現在どのように機能していると考えているのかについて伺いました。

法務省からは、外国人土地法は、大正14年に旧大日本帝国憲法下で成立した法律ではあるが、現在も効力を有する法律ということになっている。この法律の歴史的経緯は今御説明のとおりで、外国人、外国法人に土地所有を原則として許すけれども、一定の場合に、当時は勅令をもって、今で言う政令をもって制限ができるというルールがあって、その類型が2つあるというのも御指摘のとおりである。1つ目は、相互主義に基づく規制があり得る、それから、さらにもう1つは、国防上の必要な地区についての規制があり得るという内容である。いずれにせよ、規制をするには、法律の条文では勅令、現在では政令と読み替えているが、政令による指定が必要であるものの、この勅令についても1つしか今まで例がなく、大正15年に国防上必要な地区について勅令で指定して、陸軍大臣、海軍大臣の取得の許可を義務付けるということがあるが、それはもう戦後廃止されており、現行憲法が昭和22年に制定された後は政令ということになるわけだが、政令化された例はない。現在、全く政令の指定がないことから、外国人土地法による土地取得規制というのはないわけであるが、政令さえ作れば外国人や外国法人についての土地取得が制限できるかというと、今申し上げた2つの類型に当たる場合であっても、外国人土地法による規定の仕方というのは、現行憲法に照らしてみると、制限の対象となる権利や、制限の態様について政令に白紙的あるいは包括的に委任しているというものである。こういった点がやや憲法上も問題があるところであり、政令さえ作れば外国人や外国法人の土地取得を外国人土地法で制限できるというわけにはなかなかいかないのではないかと思っているとの御答弁をいただきました。

昨年の海外法人による日本の不動産取得購入額は9777億円と、前年比で3倍に増えて過去最高となり、日本の不動産市場に占める外国人取引比率は20%に達しています。こうした不動産取得、購入の具体的事例としては、東京都内の現況を調べてみると、東京駅前のパシフィックセンチュリープレイス丸の内のオフィス部分を1700億円、そして品川にある日本たばこ産業の複合施設である品川シーサイドフォレストのオフィスビル3棟を700億円、そして中野駅前の中野セントラルパークの複合ビルを380億円で取得したというケースがありました。また、総合不動産サービスの大手JLLグループが2015年1月に取りまとめた投資分析レポートによると、日本の2014年の年間不動産投資額は、前年同期比18%増の4兆6900億円となっており、円建ての投資額としてはリーマン・ショックが起きた2008年と同程度の水準となるという、不動産取引が非常に活発化してきているという現況でした。また、人気のある場所としては、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの会場に近い湾岸地区や、六本木、赤坂、麻布といった港区のブランド力のあるエリアで、販売価格が1億円を超える、いわゆる億ションも多いということでした。また、日本不動産研究所が公表した情報も見てみると、東京の元麻布のマンションの価格を100として、アジア各地と比較したところ、上海で129、香港で213、シンガポールで145、ソウルで73、ロンドンは323、ニューヨークは155となっており、元麻布の物件は香港と比較すると半分以下であることから、外国人にとっては日本のマンションは購入しやすいという現状にあるということが示されています。また、外国人の勢いを示す事例としては、例えば東京都心部で建設されている大型タワーマンションについて、大手デベロッパーは、マンションの販売に関し、完成後の円滑な管理を考慮して、外国人に売るのは全住戸の3割といった一定の自主基準を設けたのですが、結局その物件については外国人への販売が半分を超えたということです。そこで、こうしたことを踏まえ、先ほども触れたとおり、東京駅前の物件のような都心部の一等地を始め、日本の不動産が外国人等によって取得されていくという現況について、政府としてどのように捉えているのかについて伺いました。

法務省からは、外国人土地法による外国人等の土地取得規制は現在はないという前提であるが、そうすると、大原則の民法に戻り、民法上は、外国人及び外国法人は法令又は条約に別段の定めがない限り、日本人及び日本法人と同一の権利を有する旨が規定されている。そして、現在、外国人、外国法人による土地取得を禁止した法律や条約はないので、民法においては、我が国において外国人や外国法人が不動産を取得することは、日本国民、日本企業と同様に自由であるというのが原則である。したがって、不動産の取得自体について、少なくとも法的観点から問題があるというわけではないというのが現状であるとの御答弁をいただきました。

次に、外国人等がマンションを購入した後、現行の外国人土地法の下で、公共の利益を害するおそれのあるようなことも当然想定しておかなければならないということは、法務省においては当然考えていると思いますが、今後さらに外国人等による日本の不動産・土地購入が表面化することに備え、法務省として何らかの措置を今後考える予定があるのかについて伺いました。

法務省からは、外国人の不動産取得によって公共の利益が害される場合、例えば大都市部であると、都市の再開発に支障を来すとか、そういった具体的な阻害要因となるという場合に、そのような土地取得を規制するということが立法政策上おおよそあり得ないというふうには思っていない。ただ、そうした個別の規制目的を実現するために不動産取得を規制するということになると、その目的がまず正当であること、さらに、その手段が目的達成の上で必要かつ合理的な範囲であるというようなことが要件になると考えられるが、法務省の立場というのは民事基本法を所管しているのみで、こうした様々な公共の利益、規制目的に関する事務を所管していないので、そういった、各省庁がそれぞれの所管事務の範囲内での規制目的に基づいて規制をするということについて、法務省がやるとかやらないというわけにはいかない。むしろ法務省の立場は、基本法を所管する立場からその協議に応じて意見を述べたりすることである。ただ、外国人であるということだけ、あるいは外国法人であることだけで規制をするということの目的の合理性や必要性が認められるかというと、そこはなかなか難しい問題があるのではないかと思っているとの御答弁をいただきました。

外国人土地法に基づく政令を新たに制定して外国人等による土地取得を規制できるかどうかについては、現行の外国人土地法ではその規制の対象となる権利、制限の様態、そして制限違反があった場合の措置などについて具体的に規定しておらず、これらを全て政令で定めることとされているわけですが、このような委任は、国民の権利を制限し、義務を課すことは国会の立法によって行われなければならないという憲法の原則に抵触するおそれがあり、具体的な委任なしに新たな政令を制定すれば憲法上の問題が起こりかねないものと考えられていることから、同法に基づく新たな政令を制定することによって外国人等による土地取得を規制することは困難という状況にあるということは承知しています。こうした中で、他国においては、国内法の規定に従い、外国人等による不動産取得に制限を加えている国もあります。土地の使われ方が国益に反しないように規制されている国々としては、アメリカ、フランス、イギリス、ドイツ等があり、アメリカの場合は連邦法で規制されており、これに違反すると罰金を科せられるほか、連邦法に加えて各州の州法による規制が加わるようになっています。これに対し、世界の土地面積は1億3612万7千平方キロメートルのうち日本の土地面積は37万8千平方キロメートルと、世界の土地面積の中で日本の占める土地面積の割合は0.28%と、狭い国土の我が国においては、現在、外国人等による土地・不動産取得、購入等が急激に進展していますが、外国人等による日本の不動産取得、購入が原則自由であるという、こうした状況に現状を照らし合わせてみると、現行の外国人土地法の下では、公共の利益を害するおそれがあるような、またそうしたことがあった場合、現在の現行法の下では規制等をするような仕組みが盛り込まれていませんので、大正14年に制定されたままであるということです。ですから、今後においては、しっかりとその辺も含めて取組を考えていっていただきたいと思っている旨を述べました。そして、安倍総理におかれても、政府として、個人の財産権を尊重しつつ国土の望ましい利用を図るため、適正な土地利用を確保していくことが重要であると考えており、外国人土地法に代わる新たな法を整備することを含め、安全法上の必要性や個人の財産権の保護の観点等の諸事情を総合的に勘案した上でしっかり研究していきたいとの御答弁を国会でもされています。そこで、法務省を始めとする政府としての、今後の研究や検討を期待しているわけですが、現況そのようなことはなされているのかについて伺いました。

法務省からは、現行法上は我が国では外国人や外国法人が土地を取得することは自由であるという原則になっているが、ただ、国内法で不動産の取得を制限するということは、他の法文、法令においてもあるわけなので、制限の目的が正当で、その制限の態様が必要かつ合理的な範囲のものであればその可否を検討するということは十分あり得ると思うが、何の目的で、例えば国防上の目的で、あるいは水源地確保の目的でと、いろんなことがこの間一般に言われている。そういうそれぞれの規制目的に関わる行政事務を所掌する省庁において、国防上の観点から一定の制限、これは何も取得を禁止するだけが制限ではなく、届出とか調査をするとかそういうものも含めてであり、そういった目的と態様に応じてそれぞれの所管行政事務を担っている省庁において検討されるもの、つまり、法務省として一般的に駄目だというのは先ほどから申し上げているとおりちょっと合理性を欠くと思われるが、特定の行政目的で、その目的達成に必要な範囲での規制というのはあり得ることだとは思っているものの、それは法務省として考えるというよりは、国防なら防衛省、水源地の確保だったら分からないが国土交通省、それぞれの各省庁で考えたときに我々は誠実に協議に応じるという立場である。ただ、ここで一言だけ申し上げておきたいのは、安倍総理もかつて答弁をされたことがあるのだが、外国人又は外国法人であることだけを理由として不動産取得を制限することは、我が国が締結している諸条約において内国民待遇が規定されているということとの関係で条約違反となって許されないという可能性もあるので、そういったところにも目配りをして議論は進められるべきだろうと思っているとの御答弁をいただきました。

最後に、外国人土地法に関する国会での委員会質疑、審議等が行われたケースが少なかったということや、また、外国人土地法施行から長期間が経過して、いろいろと現況が変わってきているという状況もあるので、今後においては、法律所管の法務省として、関係省庁と緊密に連携を取りながら、これからにふさわしい外国人土地法であるために、そのことを是非考察していただきたいということを申し上げ、質疑を終えました。


法務委員会質疑

2015年4月23日(木)

  • 法務委員会質疑2
  • 法務委員会質疑1

法務委員会が開催され、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案について、本改正案は国際条約の改正に合わせ、船舶所有者の責任限度額を引き上げるものであり、このことにより、被害者の保護と船舶所有者の保護との均等が図られ、国際条約の枠組みの中で我が国の責任を果たすことにつながると考えられるため、賛成の立場で、質問を行いました。

まず、国内における小型船舶、特にプレジャーボートの放置問題等への対策について伺いました。

プレジャーボートを利用したレクリエーション活動が盛んになるにつれ、各地の港湾、河川、漁港等で多数の放置艇が見受けられるようになり、船舶の航行障害、そして洪水、高潮時の放置艇の流出による被害、そしてさらには油の流出、景観の悪化といった多岐にわたる問題が顕在化しております。それに加え、東日本大震災を教訓として、今後想定されている南海トラフ巨大地震等の津波による住居への二次被害も心配されているところであり、こうしたことへの対応策を講じる前提として、放置されたプレジャーボートの実態を把握するため、国土交通省及び水産庁では、1996年度から、港湾、河川、漁港等の三水域を対象といたしましてプレジャーボート全国実態調査を実施しています。

2002年度、2006年度、2010年度と4年ごとにこの調査は行われており、その推移を調べてみると、1996年度はプレジャーボート21万1千隻のうち放置艇が13万8千隻、2002年度には22万7千隻のうち放置艇が13万4千隻、また、2006年度は21万7千隻のうち放置艇が11万6千隻、さらに、2010年度は19万7千隻のうち放置艇が9万9千隻となっており、放置艇の割合は調査を追うごとに低下してきていますが、2010年度では全体の約半数が放置艇という状態にあることから、この問題へしっかりと対応していくことが求められているところです。

そこで、2014年度の調査結果がそろそろまとめられて公表されると思われますが、いつ頃に公表されるのか、お示しいただけるようでありましたら本日伺いたいと思いますし、また、この実態調査が4年に一度ということで、実施頻度として間隔が開き過ぎているのではないかと思われますので、調査実施の間隔を短くするなど、放置艇の実態把握の取組を積極的に行っていく必要があると考えますが、これに対する所見を伺いました。

国土交通省からは、国土交通省及び水産庁において、平成8年、14年、18年、22年、そして26年と過去5回、プレジャーボートの全国実態調査を実施してきており、直近の平成26年に実施した調査結果については、現在集計を行っているところであり、取りまとめができ次第、速やかに公表したいと思っている。また、放置艇対策の目標として、平成25年5月に策定したプレジャーボートの適正管理及び利用環境改善のための総合的対策に関する推進計画により、平成25年から10年間で放置艇の解消を図るという目標を設定している。

今後とも、港湾管理者を始めとした関係者が連携し、係留保管施設の整備と放置等禁止区域の設定等の規制措置を両輪として対策を進めてまいりたいと考えている。

また、指摘のあった調査の実施期間の間隔については、こういった対策の効果を確認するという観点から、一定の間隔を開けて実施することが適当ではないかと考えているとの御答弁をいただきました。

これに対し、推進計画におけるロードマップ等も拝見しましたが、非常に良い取組がなされているので、そうしたことを着実に実施していただきたいこと、また、ロードマップには、必要に応じて中間的に計画の見直し等も行うということが含まれていたので、是非そうしたことも検討していただきたい旨を述べました。

次に、日本沿岸で座礁した外国船籍の船の放置問題への対処について伺いました。

我が国沿岸で座礁し、放置された状態になっている外国船籍の船については、2014年度現在で12隻あるとされており、撤去すべき責任のある外国人船主が自治体などの要請に応じず、そのまま放置され、船舶の撤去等を行わないといった問題が深刻化していることを受け、政府においては、2002年に大量の重油が流出した茨城県日立市沖における座礁事故を機に、2004年に船舶油濁損害賠償保障法を改正し、2005年から、日本に入港する総トン数100トン以上の船舶に対し、事故時の燃料油による油濁損害や船体の撤去費用を賄う船主責任保険の加入を義務付けました。

しかしながら、事故後に保険会社と船主との間でトラブルになり、保険金が支払われないというケースも多く、例えば2013年3月にカンボジア船籍の貨物船アンファン号が座礁した青森県深浦町では、町や県が船主の中国の方にこれまで10回以上、国際郵便などで撤去を求めてきましたが、一切返信がない状態で、シンガポールに本社がある保険会社側も、船主が速やかに対応せずに被害が拡大したと、現時点では保険金を支払うことはできないと拒否したとのことです。

その後、2014年12月22日、青森県は、海岸法の規定に基づいて座礁船の撤去命令を3か月の期限を設け、所有者不明のまま命じましたが、貨物船の撤去期限であった本年3月23日までに所有者の中国人船主側からの撤去の意思が示されず、今後は事実上、県が撤去を行わざるを得ないという状況になっていると伺っております。

そこで、この青森県深浦町におけるケースにつきまして、これまで県は、海岸保全区域内で座礁したアンファン号の撤去命令を出せませんでしたが、県の要請を踏まえ、昨年6月に海岸法の改正を行い、船主が命令に従わない場合には、海岸管理者が撤去の代執行をすることが可能になったところであり、国としては、代執行に要した費用の3分の1を補助するなどの取組を進めていますが、こうした状況において、船主が責任を果たすことができるようにするために、国としてどのような考えを持っているのか、また、どのような取組を図られているのかについて伺いました。

外務省からは、カンボジア船籍の貨物船アンファン号に関しての事案については、代執行に至る手続の前に、青森県深浦町の森山海岸で座礁したということであり、同船舶の船主が中国人であったので、外務省としては、青森県からの協力要請を受けて、中国政府とのやり取りを含めた必要な支援を行ったところである。当事者間の交渉など手段を尽くしても事案の解決が見られないような場合、特に船主が外国籍であるような場合、外務省としては、事案の個別具体的な状況を勘案して、適当と考える場合には必要な支援を行うようにしているところであるとの御答弁をいただきました。

これに対して、外務省においても、非常に重要な取組を進めていただいていると思うし、やはり外国船籍の船主が直接そうした責任を果たしていけるよう、今後の課題として一考していかなければいけないと思う旨を述べました。

そして、昨日、2015年4月22日に、インドネシアのジャカルタで開かれておりますアジア・アフリカ会議において、安倍総理と中国の習近平国家主席が会談を行ったばかりですが、ここで安倍総理は、昨年の4つの原則に基づき、両国の各領域での交流と対話を推し進め、両国民の相互理解を深めることを望んでいると発言されております。

4つの原則を確認されたとのことですが、その中の一つには、海域において近年緊張状態が続いている、また生じていることについて異なる見解を有していると認識し、対話と協議を通じて、情勢の悪化を防ぐとともに、危機管理のメカニズムを構築し、不測の事態の発生を回避することで意見の一致を見たということですので、そうした船の問題、またさらには、中国のみならず、こうしたことが実際に機能していっていただくということを望んでまいりたいと述べました。

次に、2010年10月から宮崎市の堀切峠沖に座礁している、中国のしゅんせつ船のケースでは、海岸保全区域内ではないために海岸法の適用も難しく、対策を取る法的根拠がないとして放置されている状態とのことです。

このような問題を解決した事例としては、2003年4月に宮崎市一ツ葉沖でホンジュラス船籍のタグボートが座礁した際に、海岸法の適用地域を座礁位置まで拡大するという苦肉の策で県が行政代執行で撤去したとのことですが、このときなぜ海岸法の適用地域を座礁位置まで拡大することができたのでしょうか、また今後もこのようなことが想定されるのかについて伺いました。

国土交通省からは、海岸法では、国等が所有する公共の用に供されている海岸の土地及びこれと一体として管理する必要があるものとして知事が指定した水面を公共海岸として規定をしており、海岸保全区域内の公共海岸に該当し、海岸保全上特に必要があると認めて指定した区域においては、船舶等の放置が禁じられている。さらに海岸管理者は、禁止措置に違反した者に対し船舶の除却を命ずることができ、従わない場合は代執行することができることになっており、 本件では、宮崎県が所要の手続を経て代執行により船舶を撤去したと聞いている。

適用地域の拡大については、一連の手続のうち、公共海岸としての水面の指定、船舶の放置禁止区域の指定を行ったことと解しているが、これらは、海岸法第2条第2項及び第8条の2第1項の規定に基づき、適正に指定が行われたものと考えている。

さらに公共海岸については、特に指定を行わない場合は陸側のみが公共海岸となりますが、必要に応じて、干潮の際に水が引く部分、これについても指定をすれば公共海岸になるということであり、この指定が適正になされ、適用地域の拡大が図られたものと考えている。

一方、先ほども話のあった海岸法の改正により、海岸管理者は公共海岸か否か、あるいは禁止区域内か否かにかかわらず、座礁した船舶について、その所有者に対し除却を命ずることができるようになった。これにより、本件の事案に即していえば、先ほど申し上げた指定などを行わなくても除却が可能となるなど、今後はより円滑に、座礁した船舶の除却を代執行できると考えているとの御答弁をいただきました。

次に、こうしたことを踏まえると、様々な外国船籍の船舶の座礁について、船主責任保険が機能していないのではないかとも思われる旨を述べました。

そこで、政府は、事故が発生したときに、船主に責任保険がきちんと機能するかどうか、外国船の入港前に船主や保険会社に保険の契約をきちんと確認すべきであるとも思うので、今回の法改正を踏まえ、所見を伺いました。

国土交通省からは、油濁損害賠償保障法に基づき、保険への加入を義務付けており、同法に基づき、さらに入港前に保険の支払対象、保険金額等が法律に定める要件に合致しているかどうかを確認している。具体的には、座礁事故や燃料油の油濁事故が保険金の支払対象になっているのか、船主責任限度額を満たす十分な保険金になっているかどうかについて保険証書で確認している。さらに、当該保険会社の船主保険に係るこれまでの付保実績、過去における支払に関する問題の有無等もチェックしているとの御答弁をいただきました。

以上で今回の委員会質疑を終えました。


法務委員会質疑

2015年4月16日(木)

  • 法務委員会質疑2
  • 法務委員会質疑1

法務委員会が開催され、矯正医官の兼業及び勤務時間の特例等に関する法律案について、質問を行いました。

本法案は、矯正施設に収容されている者に対する医療の重要性に鑑み、慢性的な欠員状態が続いている矯正医官について、その能力の維持向上の機会を付与すること等により、その人材を継続的かつ安定的に確保するため、兼業の許可等に関する国家公務員法の特例を設ける等の措置を講じようとするもので、賛成の立場から質疑をさせていただきました。

我が国の受刑者収容施設等をめぐる状況について、我が国における受刑者収容施設全体の収容人員の推移をみてみると、2006年の8万6,288人をピークとして、2013年には6万6,670人と、減少傾向にあります。

また、2014年における診療実施件数については、女性刑務所も含めた全国の刑事施設では55万2,111件、少年院では6万9,152件、少年鑑別所では1万6,794件となっていました。そして、同年における受刑者収容施設の収容人員と患者数及び有病率については、刑事施設では収容人員6万1,152人のうち、患者数が4万322人で、有病率は65.9%、そして少年院では収容人員2,727人のうち、患者数1,581人で、有病率は58%。また、少年鑑別所では、収容人員707人のうち患者数237人で、有病率は33.5%となっています。

一方で、厚生労働省では、3年に1回、全国民に対する調査実施時点での入院・外来患者数等について患者調査を実施しておりますが、現段階で最新のものである2011年の調査結果では、人口1億2,779万9千人で患者数が860万1,500人となっており、患者数を人口で割ると6.7%となり、これは非常に低い数値で、健康であるということにつながっていると思われる旨を述べました。

全国の産婦人科医数については、厚生労働省発表のデータによると、2年ごとに集計されている数字となり、平成20年が1万389人、平成22年が1万652人、平成24年が1万868人、助産師数については、年ごとに集計されていた数字となり、平成23年が3万3,606人、平成24年が3万5,185人、平成25年が3万6,395人となっており、産婦人科医、助産師共に年々その数は増えてきているものの、都市部と地方における偏在の問題があり、地方においては産婦人科医また助産師共に不足しているという状況でした。このような状況から、昨年12月に、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会は、茨城や福島などを始めとする12県においては若手産婦人科医が特に少なく、将来の医師不足につながるとし、抜本的な対策を求める緊急提言を発表しています。

また、産婦人科医が不足している県では、隣の県や他県の病院で出産をするなど、産婦人科医や助産師の地域的な偏在は深刻な問題となっている現状です。そこで、国内には9つの女性受刑者収容施設がありますが、女性受刑者による年間出生件数についてお伺いいたしました。

法務省からは、女性受刑者による出産の件数ということで、平成20年が17件、平成21年が21件、平成22年が17件、平成23年が25件、平成24年が14件で、平成20年から24年までの出産数は合計94件との御答弁をいただきました。

次に、この出産件数の調査は、先日法務省に伺いましたところ、毎年行ってはいないということでしたが、今後、必要に応じて調査をしていただきたいということで、法務省の考えをお伺いいたしました。

法務省からは、これまで出産件数自体の情報については、リアルタイムで継続的に把握する必要性は必ずしも高くないのではないかということで調査をしていなかったが、今後検討してまいりたいとの御答弁をいただきました。

平成27年2月1日現在、全国の刑事施設の全てを合計しましても、常勤の産婦人科医が3名、非常勤の産婦人科医が13名ということで、全国には9つの女性受刑者の収容施設があり、産婦人科医や助産師の地域的な偏在の問題は、刑務所における出産においても同様の問題を抱えているのではないかと思われ、矯正医官の不足の問題も踏まえ、産婦人科医の常勤医そして非常勤医の体制を法務省としてどのように考えているのかについてお伺いいたしました。

法務省からは、産婦人科医についてはなかなか確保が難しいという状況がある中で、各施設において一生懸命確保のために努力をしていると承知しており、出産時の対応も含めて、社会一般の水準に照らして適切な医療上の措置を講ずることは国の責務であるので、各矯正施設における医療ニーズを踏まえ、産婦人科医も含めて必要な医師の確保に努めてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

これに対し、健診の内容や医療器具などが不足する場合につきまして、刑務官同行の下に外部の医療機関に定期的に診断に行かれているという現状も伺い、女性の受刑者の出産件数が年平均で同じように件数としても推移してきており、常勤、非常勤の産婦人科医の推移を見ると、平成25年から27年にかけて、常勤は平成25年は5名おりましたが、現在は3名ということで、減員されているという現状もありますので、産婦人科医を増やしていくということも是非検討していただきたい旨を述べました。また、今回の法制定によって、矯正医官の増員が全体的に図られることも期待しており、法務省におかれては、産婦人科医を始め1人でも多くの矯正医官が刑務所、拘置所、少年院等で医療業務に当たっていただけるよう、質も含めて取り組んでいただきたいということを申し上げました。

次に、女性受刑者の出産体制の現状について、刑事収容施設法の第78条、捕縄、手錠及び拘束衣の使用では、護送時や施設外では捕縄や手錠を付けることが定められており、これまで、出産時に手錠を外すかどうかについては各刑務所による判断であったということで、昨年12月、法務省におかれては、女性受刑者が出産する際に手錠を外すという指針を取りまとめられ、各収容施設に通達が出されたとの報道がありましたが、現時点において、どのような現状なのか、またどのような対応がなされているのかについて、お伺いいたしました。

法務省からは、従前は外部病院において女子の披収容者が出産する際に手錠等を使用するかどうかについては各刑事施設の判断に委ねていたので、その運用に差異が認められ、出産時においてまで手錠等を使用している例もあった状況であったことから、検討を行い、女子被収容者の出産時においては、少なくとも出産のために分娩室に入室している間は手錠及び捕縄を使用しないという取扱いとし、平成26年12月に矯正局から各刑事施設に通知したものである。したがって、各刑事施設においてはこの通知に従って適切に対応しているものと認識しているとの御答弁をいただきました。

これに対し、現時点においては、出産時には受刑者の手錠を外すように通達が出されたということで、その際には、女性刑務官3人1組を2組配置し、24時間体制をとっているということで、なるべく出産時には手錠を掛けずに出産していただけるよう、法務省、各刑事施設においても配慮いただきたい旨を述べました。

法務省においては、昨年度から女子施設地域支援モデル事業を栃本、和歌山、麓刑務所の3か所で開始しており、刑務所所在の地方公共団体、看護協会、助産師会、社会福祉関係団体等の協力の下に、保健師、看護師、助産師、社会福祉士等といった医療、福祉等の専門家の助言や指導等を受けていますが、矯正医官の産婦人科医等をめぐる取組も含め、本法案によりどのような施策が実行に移され、必要な矯正医官を確保していくことにつなげようとされているのかについてお伺いいたしました。

上川大臣からは、産婦人科医を含めた矯正医官については、社会一般の医療に触れる機会を適切に付与するということであり、兼業の許可の特例を設け、法務大臣の責任の下で、診療を行う兼業を迅速かつ柔軟に認めるということを1つの柱としている。また、症例に関するデータの収集等の調査研究を行うこと、あるいは矯正施設の外の医療機関等における調査研究や、情報の収集等を行うことのニーズにそれぞれ応じた勤務時聞を設定できるようにするということで、人事院規則で定めるものについてフレックスタイム制を適用することも柱としているところであり、こうしたことが産婦人科医を含めて必要な矯正医官の確保に資するものと考えている。この法律に関しては、広報活動等を通じ、矯正施設に収容されている者に対しての医療の重要性への国民の皆さんの関心・理解を深めるということが何よりも必要と考えており、また矯正医官の社会的な評価が高まり、現場の中で誇りを持ってしっかりと取り組んでいただくことができるように、その改善に向け、先頭に立って積極的に行動してまいりたいと考えている。女性刑務所における産科の問題についても、きめ紬かな対応をしていく必要があると考えており、しっかりと対応してまいりたいとの御答弁をいただきました。

これに対し、今回の法律案が成立した場合、国民の皆様の理解等も得ながら、必要な医療措置等を適切に行っていただくことをお願い申し上げ、質問を終えました。


法務委員会 一般質疑

2015年4月14日(火)

  • 法務委員会一般質疑2
  • 法務委員会一般質疑1

法務委員会が開催され、法務及び司法行政に関する調査について、質問を行いました。

本年2月10日に閣議決定されましたODAの新大綱となります開発協力大綱における運用基準と特定秘密保護法との整合性について取り上げさせていただきました。

日本がODAをスタートさせてから昨年で60年目という節目を迎え、4月9日に成立しました2015年度一般会計予算における政府全体のODA予算額は約5,421億円となっております。また、ODAをスタートさせてから現在に至るまでの我が国のODA実績の支出純額の累計が約42兆円であることが、外務省の御努力によりまして先日明らかになりました。

特定秘密の保護に関する法律、特定秘密保護法は、平成25年12月6日に成立し、一年の準備期間を経て平成26年12月10日に施行され、上川大臣は、昨年10月の大臣就任以降、特定秘密保護法に関する国会答弁を御担当されたほか、施行準備に御尽力されました。また、平成26年12月10日の施行によって、内閣保全監視委員会に関する事務や関係行政機関の法の運用支援など、内閣官房が行う特定秘密の制度に関する事務についても御担当されることになり、総選挙後の12月16日の閣議におきまして、安倍総理からも適正な法運用を図るよう指示があったということをお聞きしております。

一方、政府の開発協力の理念や原則等を明確にするために策定した閣議決定文書でありますODAの新たな開発協力大綱が、本年12月10日に閣議決定され、大綱本文には、開発協力の適正性確保のための原則の一つとして、「開発協力の実施に当たっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避する。民生目的、災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討する。」と明記されております。非軍事的目的であれば、相手国の軍又は軍籍を有する者への開発協力が容認されることになるとも考えられ、そうなりますと、これが軍事的に転用されるかもしれないという懸念が残るのではないかということをこれまでも多く指摘されてきているということは承知しております。

閣議決定される前も、そして閣議決定されてからも、軍事的に転用された場合のことはもちろん当然想定されていると思いますが、どのような事項の場合、特定秘密保護法に整合するかについて、宇都隆史外務大臣政務官にお伺いしました。

宇都隆史外務大臣政務官からは、この度の大綱において、軍事的目的及び国際紛争助長への使用の回避は、元々ODA大綱には創成期から文言が入っていることが前提であるとして、ODAを支出する際には、支出国との間に、我が国は軍事的目的への転用等はできないということであらかじめお互いに認識を一致させ、書簡を交わす、また、それ以降についても在外公館等の監視を常に行いながら、そうならない状況を継続するという背景がまず前提にあること。

特定秘密保護法は、別表に定める事項、つまり防衛に関する事項、外交に関する事項、特定有害活動の防止に関する事項やテロリズム防止に関する事項、また公になっていないもの、非公知性であったり、その漏えいが安全保障に著しい影響を与えるものというふうに条件を指定されるものになっていること、また、本年3月末時点で36件の事項を特定秘密保護法に指定しており、この中に外務省が実施するODA関係のものは一切含まれておらず、さきに述べた3件に照らすと、当省が実施する開発協力業務、つまりODAが特定秘密に該当することは全く想定されないと考えていると御答弁いただきました。

今回の新たな大綱では、宇都政務官から御説明のとおり、開発協力の適正性確保のための原則の一つとして、開発協力の実施に当たっては、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避するということは前大綱にも載っていたことですが、その先は新たに加えられたところが民生目的から続くところで、相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、実質的意義に着目し、個別具体的に検討するということが明記され、特定秘密保護法に関連するということではないというような趣旨の御答弁がありました。

特定秘密の指定状況を見てみますと、特定秘密保護法が2014年12月に施行されてから各省庁が指定した特定秘密の状況を本年1月に政府が発表されています。これによると、昨年12月末時点での指定された特定秘密は、外務省など10機関、382件となっており、そして、ここが大事なところですが、今後も特定秘密の指定については、その指定状況について定期的に公表していくことを考えているとされています。さらに、2014年12月末時点の特定秘密に指定された情報公開されている情報を見てみますと、この度の新たな協力開発大綱は本年12月10日に閣議決定され、4月9日に2015年度の一般会計予算は成立していることから、2014年12月末以降の新たな指定になるのではないかと思われますが、やはり日本の外交の最大のツールはODAであるとも言われています。さらに、特定秘密の指定は、安全保障に関する情報で、防衛、外交、スパイ行為等の特定有害活動の防止、テロリズムの防止に関するものとして法律で列挙する事項のうち、特段の秘匿の必要性のあるものを特定秘密として行政機関の長が指定するとされています。

そこで、今後、開発協力が軍事目的に転用されたと認められるような事例が出てきた場合、今後、特定秘密保護に指定されるかもしれないというお考えがあるかについて、宇都政務官にお伺い致しました。

宇都政務官からは、特定秘密保護法の指定に関して、この法律にのっとり、別表に定められたもので粛々と指定をしていくことになり、ODAの中身に関しては、特定秘密に該当するようなものが一切含まれていないことから、今後、それが指定される蓋然性はないと判断している。

また、一部誤解を生じさせているかもしれないが、この非軍事目的の開発協力に軍又は軍籍を有する者が関係する場合は、実質的意義に着目し、個別具体的に検討するというのは、たとえばハリケーンのような大きな災害が起こったときに、そこの瓦れきの除去とか復興支援とかを実際には向こうの軍が行っているが、そこに橋を架けたり、道路を造ったりするのはODAで支出しなきゃいけないが、実際にはそれは軍が活動していて、それは中身に鑑みて支出できるようにするというような趣旨であることから、我々の提供したODAの何かが軍事目的に使用されるという蓋然性はないというふうに判断されていると御答弁いただきました。

私自身もそうしたことがごもっともだとに思っていますし、そうした支援、また救助等が行われていくことを望んでまいりたいと思っていますが、昨年の12月頃から報道等でもよく目にしてきたのは、人道支援等が現場まで行き届かない旨の現状が続いてきていることがあり、アフガニスタンなどについては、アフガニスタンは国家予算の6割以上を援助に頼っていて、汚職撲滅による援助の有効活用等がこれ重要課題となっている中で、カルザイ前政権下では汚職が蔓延し、現場までその援助金が行き届かないというケースもあったと言われており、非政府組織関係者は運営資金が足りず、六か所から七か所の病院が閉鎖しているというような現状、また公共サービス等の雇用が失われてしまっているというような現状もある。さらに、シリアでは、内戦下のシリアから62万人以上の難民が押し寄せるヨルダンで、戦闘に巻き込まれて傷害を負った難民への支援が課題となっており、国際的な援助が行き届かずに、施設閉鎖など行き場を失っているという現状もあると述べさせていただきました。

先日、新たな大綱となる開発協力大綱につきまして参考人質疑が参議院でも行われましたが、その中で参考人の方が、紛争地や戦争中の国々に行かれ、軍隊というものがどういうものなのかということを御紹介してくださりました。その中では、途上国の軍が国内においては治安の維持装置として働いたり、あるいは、この大綱の中で支援していこうとする少数者の方たちや先住民の方たちへのまさに圧制のための道具に使われているような場合もあり、そういった途上国の軍というのは規律や文民統制という面で我が国の自衛隊とは大きく異なるものですと、全てがそういうことではございませんでしたけれども、このような現状を報告してくださいました。

こうしたことを踏まえ、テロ資金処罰法における処罰対象行為と政府による開発協力の軍事目的転用について伺いました。

昨年11月に成立しました改正テロ資金処罰法におきまして、提供行為が処罰対象となるのは、テロ行為実行のために利用する目的で、資金若しくはその実行に資するその他利益、これは資金以外の土地、建物、物品、役務その他の利益とされていますが、一方で、新たな開発協力大綱に基づく我が国の開発協力実施に際し、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避しつつ、民生目的や災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討するとされています。そこで、政府が実施する開発協力につき、これが相手国において軍事目的に転用されることがないようにするためには、当然想定されていらっしゃると思いますが、開発協力の軍事目的転用が現実のものとなってしまった場合のテロ資金処罰法に基づく処罰と政府実施による開発協力との関係については、どのようにこちらお考えになりますでしょうか。

法務省からは、改正テロ資金提供処罰法第3条第1項によると、公衆等脅迫目的の犯罪行為、いわゆるテロ行為の実行を容易にする目的でこれを実行しようとする者に対して資金又はその実行に資するその他の利益を提供した場合には資金等提供罪というものが成立することとなり、たとえば、資金等の提供の時点においてこのテロ行為の実行を容易にする目的などが欠ける場合などにおいては、本法の適用対象とはならないということになると御答弁いただきました。

テロ資金提供処罰法では、資金等の提供を行う者がテロ行為のために利用されることを確認した上で提供した場合に対する罰則を定めたものであるということは本委員会でも法案審議の際に私も確認させていただいたところですが、私がここで申し上げたいのは、ODAについては、国際的な検証機関としてOECD傘下の委員会としてDACがあり、このDACが、日本が行った開発協力がODAとして認められるかどうかについて、DACで定められた基準に従い、各国政府の説明にとらわれずに客観的に開発目的であるのかの審査を行っている状況です。また、DACにおける審査も当然必要ですが、他国や他国軍に対して行った開発協力がどのように運用されていくのか、また運用されているのかについてのチェック、また、検証をする仕組みは大綱に明記されていませんので、これらが軍事目的に転用されることがないよう、ただいまお話しいただいたことを伺う限りでは、こうした軍事目的ではなく、非軍事目的のための援助支援であるということが確認できたので、、私もそうしたことが今後引き続き行われていくことを望んでまいりたいと思いますし、また、DACのそうした検証機関のみならず、日本国内においてもこうした検証機関を設置するというのも一つ御提案させていただき、質問を終えました。


法務委員会 委嘱審査質疑

2015年4月7日(火)

  • 法務委員会 委嘱審査質疑2
  • 法務委員会 委嘱審査質疑1

法務委員会が開催され、平成27年度裁判所及び法務省関係予算に係る委嘱審査について、質問を行いました。

まず、2020年の訪日外国人2千万人の達成と観光立国の実現に向けた取組を進めていく中で、これから多数の様々な国々の方々が我が国を訪れることにより、日本国内における国際的な法的トラブルが増加することが考えられることから、日本企業の海外展開の進展に伴う法的サポートを万全なものにするためにも、こうした課題に対応できる能力を有するだけでなく、健全な良識ある知識人としての法曹有資格者が活躍できるような基盤整備を行っていくことが重要であると考えていることを述べました。

そして現在、政府が進めている我が国の法曹有資格者の活動領域の拡大に関する取組は、弁護士を始めとする法曹有資格者が、法廷実務にとどまることなく専門的な知見を活用して社会の様々なニーズに即した法的支援を行うことを目的とするものですが、法務省に設置された法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会が、2013年10月11日の第1回会議から本年2月9日の第5回会議まで5回開催されています。今後の見込みについては、この有識者懇談会の設置期間が本年7月15日までとされていることから、それまでの間に、各分科会での議論を継続しつつ、最終的な取りまとめを経た上で、これを受けて懇談会による総括としての取りまとめが行われるという流れになっていますが、国・自治体・福祉等の分野における活動領域の拡大について、どのような広がりを見せるのかについて伺いました。

法務省からは、現状として、地方自治体で常勤職員として勤務する法曹有資格者の数が、2013年10月には48自治体62名であったものが、今年1月の時点では63自治体85名に増加しているとともに、国の機関等で勤務する弁護士の数は、2006年1月には47名であったものが、昨年8月の時点では335名にそれぞれ増加しているところである。法務省における取組は、法曹有資格者の活動領域について更なる拡大を図る方策を検討するため、2013年に法曹有資格者の活動領域の拡大に関する有識者懇談会を設置し、この懇談会や、その下に設けられた3つの分科会の1つである国・自治体・福祉等の分野における法曹有資格者の活動領域の拡大に関する分科会において、日本弁護士連合会などとも連携しつつ、活動領域拡大を促進するための取組について検討を行っている。

他方、日本弁護士連合会においては、弁護士の活動領域の拡大を推進するため、自治体等連携センターを設置しており、地方自治体における弁護士のニーズを把握するために地方自治体に対するアンケートを実施したり、自治体や福祉の分野に従事する弁護士の資質の向上のための各種研修を実施するという取組を進めている。このアンケートの結果では、自治体が法曹有資格者に対して期待する役割には、訴訟対応や法律相談業務といったいわゆる従来型の業務にとどまらず、条例の策定や債権回収など、幅広いものがあるというところが見て取れるところである。

また、各地の弁護士会においても、地方自治体に対してどういった法的サービスを提供できるかという、法的サービスのメニューを提供するといった行政との連携の取組を実施したり、高齢者や障害者に対する電話相談や出張相談の取組などを実施している。

今後は、こうした様々な分野における法的ニーズを顕在化させていくこと、あるいは法曹有資格者がそのニーズに対応し得る専門性を身に付けること、そういったこれまでの取組を通じて見えてきた視点や課題を踏まえて更に検討を進め、有識者懇談会の設置期限である本年7月までの間に、これらの分野における法曹有資格者の活動領域の拡大の具体的な方向性について取りまとめてまいりたいと考えているとの御答弁をいただきました。

これに対し、そうした法曹有資格者の活用を考える自治体に人材が適切に供給されるにとどまらず、自治体での任用をきっかけとして、法曹有資格者が自治体内でキャリアを積み上げたり、またその経験を生かして次の活動の場を途切れることなく得られるような体制づくりというものも同時に考えていかなければならないと思っている旨を述べました。

また、福祉の分野についても、今後とも、福祉に携わる専門職の方々のネットワークに、弁護士の方々が積極的に関与すること等を通じ、高齢者や障害者の方々が抱える法的問題の実情に通じた弁護士の養成、確保を進めるとともに、さらには、子供や生活困窮者についても同様な取組を進めていただきたいとのお願いをさせていただきました。

次に、企業分野について、企業活動の複雑多様化に伴い、法廷を中心とした紛争処理だけでなく、コンプライアンスやガバナンスといった企業活動に不可欠な要素の重要性が指摘される中で、この分野における法曹有資格者の進出の代表例と言える企業内弁護士の数について調べてみますと、2005年5月の時点では68社、123人であったのが、昨年6月には619社、1179人に増加してきていることに触れました。企業の海外展開が増大する中で、様々な法律サービスを提供する弁護士の方々に対しては、今後更なる専門性の高い法律サービスの提供が求められ、企業合併や買収のほか、不動産投資などの証券化、さらには株主代表訴訟などの案件が増加してきているという現状にあります。

そして、企業が弁護士を雇用するメリットとして、企業が経済活動をする上で、事故やトラブル、法令違反に限らず様々な不祥事の発生もあり得ることから、企業内弁護士が在籍していれば、初動対応や企業内での対応策策定、さらには体制整備、再犯防止策の検討等の場面でその知見が発揮していただけることが期待できたり、さらには、企業の海外展開に際し、企業内弁護士が所属企業の対外的な交渉窓口となることにより、特に企業内弁護士の出てくるケースの多い欧米企業に対し、対等な立場での交渉を可能とするだけでなく、適切な論点を整理しながら問題解決をしていくということなどがありますが、こうしたことが対外的な信頼にもつながっていくのではないかと思っている旨を述べました。

そこで、こうした現状を受け、企業分野における法曹有資格者の活動領域の一層の拡大に向けた取組はどのようになるのかについて伺いました。

法務省からは、企業内弁護士の数は年々増加傾向を見せており、直近の一年間では、200名を超える法曹有資格者が企業に就職しているという現状にあり、これまでの取組については、有識者懇談会やその下に設けられた3つの分科会の1つである、企業における法曹有資格者の活動領域の拡大に関する分科会において検討を行っているところである。

その中で取り上げられた活動領域の拡大に向けた取組を紹介すると、例えば企業に向けて法曹有資格者の専門性を活用する有用性を周知広報するための取組として、日本弁護士連合会や各地の弁護士会などの主催による企業向けの情報提供会が実施されており、また、企業への就職に関心を有する法曹有資格者に対するものとしては、弁護士会主催の就職説明会などが実施されているところである。また、日本弁護士連合会では、企業内弁護士向けの研修会も実施していると承知しており、これらの様々な取組を通じ、法曹有資格者の専門性や、それを活用することの企業におけるメリットなどがこれまで以上に広く周知され、法曹有資格者が企業において一層活躍されていくことを期待しているところであるとの御答弁をいただきました。

これに対し、やはり活動領域の拡大ということでございますので、法律家としての専門的な知見を提供するといった業務に加えて、総務や営業等の分野や、企業戦略策定等の業務に対応することができるように、企業側のニーズの把握や、また企業側、そして法曹有資格者双方の情報提供の拡充等を通じ、ニーズと人材を効果的に引き合わせるための体制づくりをお願いさせていただきました。

次に、法曹有資格者の海外展開についても伺いました。

グローバル化の進展の中で進んできている日本企業の海外展開について見てみますと、2014年度の日本企業によるM&A、企業の合併や買収は13.9兆円と前年比10.7%増となっており、2007年度以来の高水準となっていました。また、総額8兆円の海外M&Aの件数は662件、金額は1件当たりの案件規模が前年比で2割程度大きくなっている現状です。このことは、日本企業のM&Aの57%を海外案件が占めただけでなく、案件の大型化も特徴となっているように感じました。

また、2014年度の代表的なM&Aの事例としては、報道ベースでは、伊藤忠商事による中国国有企業の中国中信グループとタイの財閥、チャロン・ポカパングループとの資本業務提携、これは総額1兆2千億円のほか、日本郵便の豪物流大手、トール・ホールディングスの買収7145億円、さらには第一生命保険の米プロテクティブライフの買収5852億円などがありました。

海外拠点について見てみますと、中国、さらにはインド、タイといったアジア新興国を中心とした日系企業の海外拠点数は、2009年には3万7455か所でしたが、2013年には4万2267か所と、増加してきています。

このように日本企業の海外進出が進むと、当然のことながら現地における法制や商習慣の違いなどから、思わぬ法的トラブルに直面する機会も増加するということが考えられますし、こうした法的トラブルに対して、日本の法曹有資格者がどのような支援を行うことができるのかという点について早急に検討していく必要があると思います。

そこで、法務省における法曹有資格者に対するニーズを把握する取組として、新興諸国における法制度やその運用の状況だけではなく、現地に進出している日本企業や在留邦人の直面する法的ニーズの実情等を探るため、日本の法曹有資格者によるこれは現地調査を行っているとのことですが、法務省における取組はどのようなものかについて伺いました。

法務省からは、法曹有資格者の海外展開を進めていくに当たり、指摘いただいたとおり、様々なニーズ、それは大企業だけではなく中小企業や在留邦人のニーズも含まれるが、様々なニーズを的確にまず把握することが肝要と認識している。

そのような観点から、法務省では、平成26年度から東南アジア諸国において、現地の法制度やその運用の実情、現地に進出している日本企業や在留邦人が直面する法的ニーズの実情などについて、弁護士に委託をして調査を行っているところである。

具体的には、平成26年度はインドネシア、シンガポール、タイの3か国に、それぞれ日本の弁護士を1名ずつ派遣して調査を実施したほか、今年度においては、この3か国に加え、フィリピンにおいても同様の調査を実施することとしているところであるとの御答弁をいただきました。

また、法曹有資格者の海外展開を進めていくには、日本の企業が海外に展開するに当たって直面する法的ニーズを法曹有資格者が積極的に把握することが必要ですが、具体的な支援の方策は企業のニーズに応じて多様であるため、類型ごとに、法曹有資格者が各国ごとに異なる法制度の枠組みの中で日本の法曹有資格者ならではの法的サービスとしてどのようなことができるのかを具体的なイメージを持てるように整理して、中小企業を含め、海外展開を考える事業者に情報提供する等の取組を通じ、法曹有資格者の活用が推進されていくことが必要であると思います。

そして、在留邦人支援につきましても法曹有資格者の活用が求められることから、在外公館との連携の在り方や各分野についての専門性を備えた現地法曹へのアクセス向上や、海外からの日本の弁護士へのアクセス改善等の問題についても検討する必要があると考えます。

そこで、こうしたアクセス等を含め、今後の取組につきまして上川法務大臣に御所見を伺いました。

上川大臣からは、委員から指摘があったとおり、我が国の企業そして日本人の方々が海外に行って様々な活動を現地で行うということに関連し、その様々な法的ニーズについて鋭意調査をしながら、それに合わせて法曹養成の在り方についても検討をしていく必要があるということで取組を進めているところである。

日本企業あるいは在留邦人の支援、そして国際競争力を高めるためにも、国際感覚そのものを身に付けた法曹有資格者の養成というのは非常に大事なことだと考えており、その更なる活躍推進のために、有識者会議の下に置かれている海外展開に関する分科会においても、そうした視点から検討を進めていただいているということであるので、7月目途にその成果が出るように取り組んでまいりたいと思っているとの御答弁をいただきました。

これに対し、上川大臣からも説明いただいたように、法曹有資格者の活動領域の拡大ということで様々な検討が行われているということで、良識ある知識人としての法曹有資格者の活動領域が更に広がっていくことを望んでまいりたい旨を述べました。

また、投資銀行のM&A担当者によりますと、中長期の成長のために余剰資金を海外のM&Aに振り向けようとする日本企業が増えてきており、今年度も日本企業のM&Aは海外案件を中心に増加傾向にあるとの見方が根強いとのことでしたので、こうしたことも当然考えていらっしゃると思いますが、これからますます法曹有資格者に担っていただく活動領域が広がりを見せると思われますので、日本企業の海外展開の進展に伴う法的サポートの充実をお願い申し上げ、質疑を終えました。


政府開発援助等に関する特別委員会 対政府質疑

2015年4月6日(月)

  • 政府開発援助等に関する特別委員会 対政府質疑2
  • 政府開発援助等に関する特別委員会 対政府質疑1

政府開発援助等に関する特別委員会が開催され、開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関し、質問を行いました。

開発協力大綱の基本方針の中にある、自助努力支援と日本の経験と知見を踏まえた対話・協働による自立的発展に向けた協力については、これまでも国際協力機関であるJICA等の関係機関等と協力をして、地域や国の実情あるいはニーズをしっかりと踏まえながら、取組や運用等が行われてきていることに触れました。

1995年に日本とシンガポールで開始されたコミュニティー・ポリシング戦略コースについて、1981年に、日本の交番制度の導入を希望するシンガポールにJICAが調査団を派遣して始まった取組によって、その後の日本の技術協力をきっかけにシンガポールの警察が日本の交番制度導入検討を開始し、1983年、シンガポールの中心街に、警察署管内に8つの交番が設置され、その取組はどんどん広がりを見せ、現在、シンガポールには62か所の地区警察ポストと、地区警察センターが36か所設置されています。

また、この導入から設置に至るまでの経験を共有し、自国の文化に合った交番制度を進めていきたいということで、シンガポールに対しても、近隣諸国を始め世界各国が興味を持ち、期待されているところであり、開発が比較的進んでいる途上国が、自国の開発経験や人材等を活用して、開発が進んでいない途上国に対して協力事業を行う南南協力の代表的な事業の1つです。過去に日本の技術支援を受けた途上国の機関が他の途上国から研修員を受け入れて技術指導を行い、日本はそれを資金面や技術面で支援しており、三角協力で支援しています。

そこで、現在、どの程度、諸外国からの交番制度導入の働きかけが生じているのか、また、その働きかけや期待に対して応える用意はされているのか、その進展状況と、どのような形で協力支援を行っていくのかについて伺いました。

JICAからは、途上国で、様々な国で様々な援助を行っており、その中で、援助が成功する条件が幾つかあり、最も大事なことの1つは、人々が安心して生活できる安全な社会という環境である。

ただ、途上国においては、貧しさゆえに様々な問題や課題があり、そのような条件の下で、警察だけで治安と安全を保持していくことには限界がある。警察と地域の住民が一体となって、あるいはコミュニティー全体で取組が必要で、このような取組を世界に先駆けて行ってきたのが日本であり、地域住民とコミュニケーションを大事にし、地域住民の理解を深め、警察と住民との信頼関係を構築しながら地域の安全と安心を確保していくという日本独特の取組が交番制度である。

JICAとしては、日本が誇れるこの交番制度のノウハウ、地域警察のノウハウを途上国に広げ、途上国全体の発展に役立てればということで邁進してきた。既に、指摘のあったように、30数年前、1981年、シンガポールへの交番制度を含む地域警察の技術協力を皮切りに、現在、ブラジル、インドネシア、東ティモール等々に広がりを見せている。具体的には、相手国の警察官を我が国に招聘し、交番や駐在所の視察等を通じた日本の地域警察活動を学んでもらう研修、あるいは我が国の警察官を専門家として相手の国に派遣し、地域の巡回による安全確保や、そして市民からの相談対応等、地域住民の信頼を高めるための活動への助言を行っている。

一例として、例えばインドネシアでは、ジャカルタ近郊のブカシ県というところで交番制度、地域警察の協力をした結果、住民からの相談件数がたったの3年間で4倍にも膨れ上がったという事例もある。また、少し前、ブラジル・ワールドカップにおいても防犯対策というのが大変重要であったが、その際にも日本の交番制度というものが一役買ったところである。また、特にシンガポールでは、1995年からは、南南協力ということに力を入れており、シンガポールに根付いた我が国の協力を、アジアを中心に広げるということで、今現在30か国以上、500名近い人間に対しての研修ができている。

交番制度を含む地域警察の協力は市民に安全と安心を与えるものであり、また、人間の安全保障の見地からも重要な課題と認識しているので、今後とも、相手国のニーズを十分に踏まえ、また、主務省である外務省、警察庁等と十分に相談しながら、協力の可能性を積極的に検討してまいりたいとの御答弁をいただきました。

これを受け、JICAにおいては国際平和に積極的に貢献していただいているということであり、この交番制度というのは世界に広がるシステムとして、ローマ字でKOBANは外国でも交番システムとして知られる国際語となっていますし、同時に、日本は世界でトップクラスの治安の良い国として評価されているところです。

また、JICAにおいては、1980年代から、シンガポールやインドネシアなどあらゆる国々で交番制度の導入を支援しており、治安が劇的に改善してきているという現状について、このことは最も成功した国際貢献の一つであるとされているところであり、この交番制度につきましては大きな広がりを見せていますし、この技術協力等は多岐にわたるので、また質疑の機会があれば、是非取り上げさせていただきたいと思っている旨を述べました。

次に、岸田大臣が50か国以上の国・地域とのODAを含む外交を展開され、友情を深め、そして揺るぎない信頼を勝ち得ている中で、ODAを含む国際外交についての指針と方向性についての所見を伺いました。

岸田大臣からは、ODAは、我が国が戦略的に外交を進める上において最も重要な手段の一つであり、是非、ODAを通じても国際社会の平和や安定や繁栄にしっかり貢献をしていきたいと思う。

一方で、我が国はこうした開発の分野以外でもしっかりと国際社会に貢献していかなければならないことから、各国や国連を始めとする国際機関としっかり連携をしていきながら、例えば平和構築や軍縮・不拡散であるとか、さらには環境、人権、こうしたグローバルな課題にもしっかり取り組んでいかなければならないと思う。こうした様々な分野においてしっかりと貢献をしていく、平和国家としての歩みをしっかり示していく、こうした対応は大変重要だと思っている。

元々、私自身、外交を進めるに当たって、外交の3本柱、日米同盟の強化、近隣諸国との関係強化、そして経済外交の強化を掲げて外交を進めてきたが、外務大臣をやってみて、この3本柱だけでは不十分だと認識している。3本柱を進めつつ、あわせて、今申し上げたグローバルな課題に取り組んでこそ我が国は国際社会においてしっかり存在感を示すことができるのではないか、こうした基本的な考え方に基づいて、これからも戦略的に外交を進めていきたいと考えているとの御答弁をいただきました。

これを受け、岸田大臣におかれましては、今後も大変な御努力を要されると思いますけれども、更に国際機関とも協力をされながら、更なる世界的安定の秩序の構築に向けて頑張っていただきたいと思っておりますと申し上げ、質問を終えました。


政府開発援助等に関する特別委員会 委嘱審査質疑

2015年4月6日(月)

  • 政府開発援助等に関する特別委員会 委嘱審査質疑2
  • 政府開発援助等に関する特別委員会 委嘱審査質疑1

政府開発援助等に関する特別委員会が開催され、平成27年度政府開発援助関係経費に関する委嘱審査について、質問を行いました。

最初に、岸田外務大臣が、就任直後より50以上の国、地域の外国首脳等と会談を積み重ね、様々なネットワークの構築により、諸外国との親密な関係を築いてきていること及び、大臣が、日本外交にとって最大のツールはODAであり、平和外交の柱であるとODA政策スピーチで述べられていたことに触れました。

昨年は、日本がODAをスタートさせてから60年という節目を迎えたところですが、我が国のODA実績の支出純額の累計は約42兆円であることが、外務省に確認したところ、明らかになりました。

本年2月10日に閣議決定された開発協力大綱における、開発協力の適正性の確保のための原則としての軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避の中では、国際協力の実施に当たり、軍事的用途及び国際紛争助長への使用を回避しつつ、民生目的、災害救助等非軍事目的の開発協力に相手国の軍又は軍籍を有する者が関係する場合には、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討すると明記されていますが、非軍事的用途であれば、相手国の軍又は軍籍を有する者でも開発協力が容認されることになるとも考えられます。そうなりますと、開発協力が軍事目的に転用されるかもしれないという懸念が残るのではないかということが、これまでも多く指摘されてきたことを承知しているところです。

そこで、開発協力が効果的また効率的に推進されるよう、さらに、大綱が閣議決定された根幹にのっとり、適正に履行される運用基準について伺いました。

岸田大臣からは、近年、感染症対策や、紛争後の復旧復興等の民生分野、さらには災害救援など、非軍事目的の活動においても軍が重要な役割を果たすようになり、開発目的の達成のために軍の下にある機関や軍籍を有する者に対する非軍事目的の協力が必要になる場面が増加している。そこで、新大綱では、この軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避の原則の下、これまで十分明確でなかった軍、軍人に対する非軍事目的の協力に関する方針、これを明確にしたところである。そして、この原則の実施については、相手国の開発ニーズや経済社会状況、あるいは我が国との二国間関係等も踏まえつつ、個別具体的、案件ごとに援助の趣旨や目的、援助対象あるいは援助の内容、効果の観点から、総合的に実施の是非を判断していくという対応を考えている。そして、実施した後もしっかりフォローアップする体制も考えていくとともに、何よりもこうした取組の透明性を高めていかなければならない。そこで、こうした案件ごとに調査の段階から開発協力適正会議という会議を設けて、学識経験者あるいは経済界、あるいはNGOにも参加してもらって、こうした案件についてしっかりと目を光らせてもらう、こういったことによって透明性を高めていく仕掛けをつくっていきたいとの御答弁をいただきました。

これを受け、先般、特別委員会において、開発協力大綱に対する参考人質疑が行われ、その中で、参考人の方より、紛争地や戦争中の国々に行ったことを踏まえ、軍隊がどういうものなのかということを御紹介いただいたことに触れました。その中では、途上国の軍が国内においては治安の維持装置として働いたり、あるいは大綱の中で支援していこうとする少数者の方たちや先住民の方への圧制のための道具に使われているというような場合もあり、そういった意味で、途上国の軍というのは規律や文民統制の点で、我が国の自衛隊とは大きく異なると、全てがそういったことではありませんが、このような現状について報告いただいた旨を述べました。

こうしたことを踏まえた上で、岸田大臣から説明があったとおり、開発協力大綱は日本が平和国家として世界に貢献するための重要な手段であり、私も、大綱における開発協力の運用基準が適正に履行されていくということを望んでまいりたいと思っている旨を述べました。

次に、ODAによる法制度整備支援に関して、開発協力大綱の中では法の支配といった文言が7か所ありますが、今日のように国際的な経済活動等がより活発化する中では、我が国の法制度整備支援を通じた貢献が、国際社会において果たすべき役割はますます重要になってくると思うとともに、とりわけ、アジア諸国の法制度整備のニーズは非常に高まっており、我が国による法制度整備支援に対する期待や要望は高まる一方であると述べました。

以前、法務委員会において、19年前に我が国の援助でタイに少年院が設置され、法務省から職員の方々が派遣された上で取組がなされた結果、罪を犯した18歳未満の少年の再犯率の減少につながったことを取り上げました。これは、開発途上国が行う法制度整備のための自助努力を支援するものと理解しているところです。

そこで、開発協力大綱における法制度整備支援等は大変重要な要件であるので、今後の方針と方向性について伺いました。

外務省からは、開発協力大綱においては、法の支配の確立、グッドガバナンスの実現、民主化の促進、定着、女性の権利を含む基本的人権の尊重等が効果的、効率的かつ安定した経済社会活動の基盤を成しているのと、経済社会開発を支えるものであると同時に、開発の是正を始め、公正で包摂的な社会を実現するための鍵であるとしている。こうした観点から、例えば実定法の整備であるとか、あるいは法曹関係者、矯正、更生保護を含む司法関係者の育成など、法制度整備支援を行っていく考えである。また、御指摘のとおり、開発途上国自身の自主性、自発性と自助努力を重視し、日本の経験と知見を活用しつつ、当該国の自立的発展に向けた協力を行っていく考えであり、法制度構築等においても自助努力や自立的発展の基礎を構築するという点を重視していきたいと考えているとの御答弁をいただきました。

これを受け、2014年の日本再興戦略においても、法制度整備などの我が国の得意分野を今後積極的に展開していくということとされていましたので、今後につきましては、法務省とも連携を図っていただき、予算面も是非考慮した上で検討を進めていただきたい旨をお願い申し上げ、質問を終えました。


法務委員会質疑

2015年3月26日(木)

  • 法務委員会質疑2
  • 法務委員会質疑1

法務委員会が開催され、法務及び司法行政に関する調査について、質問を行いました。

法務省所管の平成27年度一般会計予算額は7374億8700万円となっており、前年度の当初予算額と比較すると、76億2500万円の増額となっています。そのうち、出入国管理関係経費として469億3300万円が計上されており、昨年よりも17億2800万円の増額となっていますが、オリンピック・パラリンピック東京大会が開催される2020年には、政府が掲げている訪日外国人旅行者数2000万人の達成と観光立国の実現をするために、治安の確保という観点からも、法務省所管の出入国審査管理行政は最も重要な取組であること、また、世界各国の人々が入国、出国する日本の玄関口として、その審査管理を法務省が重要な責務として担っていることを指摘しました。また、現在、世界中で国際テロが頻発しているという状況からも、法務省所管の入国審査、出国審査が、安倍総理が施政方針演説で宣言した、世界一安心な国、世界一安全な国日本をつくりますということに直結していくことになります。そこで、大臣所信で述べられた、グローバル化の中の新たな課題に対応するという関連で、現状を踏まえた上での、今後における出入国審査管理についての所見と方針を伺いました。

上川大臣からは、2020年にオリンピック・パラリンピック東京大会が開催されるということで、訪日外国人旅行者数2000万人の高みを目指し、政府一丸となって最高のおもてなしができるようにと、そういう方針で臨んでいるところである。一方、昨年の外国人の入国者数は1415万人と、過去最高を記録したところであり、2020年まで、あるいはそれ以降ということを考えると、様々な対策として、法務省においては入国管理についてしっかりと取り組んでいかなければならないと思っている。入国管理の方針については、問題のない外国人の訪日に対しては、可能な限り円滑な入国審査を行い、観光立国の実現にしっかりと尽くしていきたい。しかし一方で、ある外国人に対しては、厳格な入国審査の実施等によって、治安の維持、安全、安心な日本を同時に達成していくことが求められていると思っている。これまで個人識別情報を活用して入国審査を行っており、また事前の旅客情報に加えて乗客の予約に関する記録の取得に万全を期し、自動化ゲートなどの導入を実施してきたところであり、現在、自動化ゲートにおける顔認証技術の活用も検討している。また、2020年までということになると、段階的な体制づくりが必要であり、入国審査官を、2020年までに800人から1100人の増員をする必要があるという試算もしており、計画的、段階的な整備という考えから、平成27年度予算においては、入国審査官の202名の増員を計上している。こうした施策を通じ、テロを未然に防止するための水際対策ということにつきまして全力を尽くすと同時に、しっかりと観光立国の実現に努めてまいりたいと御答弁をいただきました。

次に、オリンピック・パラリンピック、またスポーツの国際大会等で発生したテロ事件について触れました。1972年のドイツ・ミュンヘン大会の際には選手村内が襲撃され、選手、コーチ、審判員、レフェリー、そして警察官が亡くなりました。また1988年の韓国・ソウル大会の際には、韓国の航空機が、オリンピックの前年に、機内に爆弾が仕掛けられ、上空で爆破・墜落して115名が亡くなるというテロ事件が発生しました。このときの犯行の動機として、オリンピックを妨害するためであったとも報告されています。このように、スポーツを巻き込んだテロ関連の事件が様々に発生しているという状況であり、私自身も、アトランタ大会の際には、試合会場近くの施設のすぐ隣にある公園が爆弾が仕掛けられ爆破し、そのときの大変な状況を知っていますし、この事件で二人の方が命を奪われ、100人以上が負傷するという本当に大変なテロ事件が発生しました。そのとき、私自身も選手として、これは日本でも予測される問題だと思いましたし、強烈に覚えていることから、入国審査時等の水際対策や未然防止策がいかに重要であり必要であるかということを感じてまいりました。そこで、現在、日本人の出帰国審査の合理化、外国人の出入国審査の更なる迅速化を図るため、顔認証技術を活用した自動化ゲート導入等について、今後、国が主導してこれらの機器を設置していくという考えがあるのか、また、今後の予算についての所見を伺いました。

法務省からは、日本人の自動化ゲートによる顔認証技術の活用については、これができると、事前の利用希望者登録の手続が要らなくなるということから、自動化ゲートの利用者を飛躍的に増加させることができ、日本人の出帰国の審査の合理化が格段に進み、その結果、外国人出入国審査の迅速化に寄与することができると考えている。そこで、法務省では、昨年の8月から9月にかけて、日本人の出帰国審査に活用するための顔認証技術に係る実証実験を成田空港、羽田空港で国民の方々の協力を得て実施した。その実証実験の結果については、外部有識者から成る出入国審査における顔認証技術評価委員会に検討いただき、顔認証技術を日本人の出帰国審査に活用することについて十分可能性があるという評価をいただいたところであるが、一方、顔認証技術の活用に向けた検討課題もいろいろあるという提言もいただいている。そこで、現在、当局においては、委員会から提言いただいた検討課題を十分に踏まえつつ、諸外国の取組状況も参考にしながら、観光立国の推進及び2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向け、顔認証技術を活用した自動化ゲートの導入について検討を進めているところである。具体的には、実証実験で行ったのは、採取したデータの照合の精度のところであるが、実はその周辺のところで、円滑かつ確実に顔画像をどうやって取得するか、それを取得できないと照合精度が良くても使い物にならないということもあるし、また、具体的な空港の審査場を前提にして、どのくらいの規模の機械をどういうふうに配置するのが一番効率的かという大事な検討課題等もあるが、鋭意その検討を進めている段階である。したがって、現在ではどのくらいの予算というようなことを申し上げる段階にはまだ達していないが、今後、顔認証技術を活用した自動化ゲートを導入する場合には、所要の経費の確保に努めていくとの御答弁をいただきました。

この答弁に対しまして、顔認証技術に係る実証実験における認証誤認率が、2012年度は17.7%と非常に高かったのですが、2014年度の実証実験の際には、関係企業、そして法務省の皆様の努力により、誤認率を0.26%まで抑えることに成功しているとのことから、顔認証技術について、関係企業や実証実験参加事業者の高精度な技術も加わって取り組んでいくことへの賛意を表明しました。

また、法務省が担っている入国出国審査、そして管理は更に世界中の人々が対象になっていくということを考えると、厳正で万全な審査、管理体制を構築していくための法務省独自の財源を生み出し、そして生み出し続けられることを考えていかなければならないと述べさせていただきました。

こうしたことを踏まえた上で、入国審査料等の提案を含めさせていただきながら、引き続き質問させていただきました。

現在、日本では出国時において旅客施設使用料と、空港によっては旅客保安サービス料につき、空港管理会社が徴収していますが、これらは、空港施設における様々な維持、管理等に充てるために、利用者が負担するものであることについて触れました。そして、諸外国の現状を調べてみると、基本的には、出国時に諸税や審査料等を徴収している国がほとんどでした。年間約8700万人の旅行者が訪れているフランスでは、まず、日本と同様に出国時に旅客サービス料が徴収され、これ以外に国際連帯税、空港税、民間航空税などを徴収しており、テロ対策を強化し続けることができ、揺るぎない体制を構築しているという現状です。日本では、今のところ、出国時は先ほど触れたもの以外は徴収されていない状況で、諸外国に比べれば立ち遅れの感が否めないところです。そこで、日本では現在、入国審査時に徴収する諸税や審査料等があるのかについて伺いました。

法務省からは、現在のところ、我が国においては、入国の審査に関して税や手数料等は徴収していないとの御答弁をいただきました。

この答弁から、日本では現在、出国、入国のどちらの審査時も諸税や審査料等が発生せず、徴収されていないということを確認しました。入国時に入国税や入国審査料が発生し、徴収している国は、アメリカとペルーの2か国です。アメリカでは入国審査料として840円、ペルーでは入国税として1790円が徴収されています。また、出国時に審査料等を徴収している国も多いですが、日本における出入国制度は、1951年に公布された出入国管理令を出発点とし、今年で64年が経過しましたが、これまで、日本におけるテロの水際対策のとりでである出入国審査・管理行政等をより厳正にしていくために有益な施策の実施は考えられずに、現在に至っているところです。そこでアメリカの現状に注目すると、同国では、入国時については、諸税、審査料等の合計が4190円となっており、9.11以降、様々なテロ対策を打ち出し、関連の立法も行ってきています。また、その中でも、テロ直後の2001年10月26日に制定された米国愛国者法が中心となって、関連の最終報告書を見てみますと、9.11の実行犯がアメリカの難民庇護制度や出入国管理制度の隙を突いて入国し、ハイジャック機に搭乗したこと等が報告されていますし、入国審査等の失敗であったとも結論付けられていました。私は、入国時において税や審査料を徴収し、国際テロ等に対処するために使っているアメリカや諸外国の動向を見た中で、安倍総理がおっしゃられている世界一安心、そして世界一安全な国日本ということを心から思い、そして実現されようと思われるのであれば、審査料等の徴収を検討されてもよいのではないかと思います。なぜなら、現在、日本の多省庁にわたる訪日者の審査、検査、管理等が国民の税金によって賄われているという現状に鑑みますと、このまま税負担を国民の皆様に強いるわけにはいかないと思うからです。2000万人の訪日者が各5日間滞在するとなりますと、年間1億人の人が日本で生活をすることになり、し尿処理の問題、ごみ処理等の問題で各自治体に相当な負担が生じざるを得ないということになります。日本にお見えになる方々には、日本の文化に触れ、風習や歴史的建造物に触れることによる感動また感銘を享受されるに当たり、何ら支障を生じるものではないと思われます。まして、提案させていただいている日本の出入国時の審査料等の使途については、日本国内における国際テロに対する水際対策やテロ行為未然防止対応策に資するものですから、日本国内において決して揺らぐことのない安心、安全を万全なものとして推し進めることにほかなりません。このことにより、空港等における水際対策に要する設備整備が進み、これらが国際テロに対する抑止力となり、安心、安全、さらには信頼できる国としての日本を世界に向けて発信することが可能になると思われます。そして再度、日本にお見えになる方の安心、安全確保のために、入国料等の徴収について是非一考していただきたい旨を申し上げ、提案型の質疑を終えました。


政府開発援助等に関する特別委員会質疑

2015年3月4日(水)

  • 消費者問題に関する特別委員会2
  • 消費者問題に関する特別委員会1

政府開発援助等に関する特別委員会が開催され、2月10日に閣議決定された開発協力大綱の下での我が国ODA等の在り方に関し、大変御多忙のところ出席いただきました、ODA大綱見直しに関する有識者懇談会座長である薬師寺泰蔵氏及び、特定非営利活動法人難民を助ける会理事長である長有紀枝氏の2名の参考人に質問いたしました。

まず冒頭に参考人の方々より、御意見をお述べいただきました。

薬師寺参考人の御意見の概略は、次のとおりです。

ODA大綱見直しに関する有識者懇談会座長を務め、昨年3月から6月にかけて綿密な議論を行い、報告書を岸田外務大臣へ提出し、これをベースとして新大綱としての開発協力大綱が策定されたところであり、これは新たな時代にふさわしい政策文書であると思っている。開発協力の目的は新大綱の中で非常に明確になっており、それは国際社会への貢献であり、これが国益につながるということである。

また、懇談会では、開発協力における重点課題として、包摂性・持続可能性・強靭性を備えた質の高い成長を目指すとの考えを出すとともに、人間の安全保障の考え方による取組をきちんとやっていくことが平和で安全な社会の構築につながるというような議論も行ってきた。

ODAは、世界における日本の存立・繁栄と国際社会に対する貢献につながるものであるので、今後、ODA予算を増やしていただきたい。

長参考人からの御意見の概略は、次のとおりです。

開発協力大綱では、開発協力の基本方針として、人間の安全保障の考え方が根本にある指導理念として、様々な課題、援助、重要な概念を束ねる接着剤のような役割をするものとして捉えられており、高く評価し、賛同する。

新大綱にある重点課題について、貧困層への支援、絶対的貧困の撲滅あるいは脆弱な状況に置かれた人々の支援というものを、質の高い成長より前に置いていることを積極的に評価したい。

新大綱にある地域別の方針では、ASEAN諸国への支援において、経済成長のみならず、人命を守る防災や災害対処能力に重点を置いていることや、近年目覚ましい経済発展が語られているアフリカでは依然として、紛争が頻発していて深刻な開発課題が山積しているとの実態に触れていることを評価したい。

新大綱の実施に際し、日本のODAの戦略性の強化をうたいながら、他方で、開発途上国自身の開発政策や開発計画を踏まえるとした点を高く評価する。

新大綱では、軍事的用途及び国際紛争助長への使用回避という点で、これまで事実上禁じてきた他国軍への直接支援を、民生目的、災害救助など非軍事的目的の開発協力において、その実質的意義に着目し、個別具体的に検討するとしたことについて、大きな疑問とともに危惧を抱く。

新大綱では、開発協力の適正性確保のために女性が社会的弱者として位置付けられるのではなく、開発の担い手として位置付けられたことを高く評価したい。

また、開発協力の適正性確保のための原則として、開発協力者の安全配慮が明記されたこと自体は高く評価したいが、実践面では不確実な要素が大変多いのではないかと思う。

敵味方の区別なく困難な状況にある方たち一人一人を支援する、真の人道支援の拡充が重要である。

人間の安全保障という日本の宝物とも言えるこの概念を、ODAの理念にとどめずに、外交・内政や、東日本大震災の被災地支援においても指導理念となればすばらしいと思う。

今後も、新大綱にうたわれたとおり、日本の強みを生かした質の高い、きめの細かい、一人一人に届く支援をNGOとしても心掛けたい。

その後、質疑に入り、次のとおり参考人の方々に質問いたしました。

薬師寺参考人には、保健医療分野に関する開発途上国の現状について、そこに住む人々の多くは、先進国であれば日常的に受けられる基礎的な保健医療サービスを受けることができないという現状、また、衛生環境などが整備されていないために、感染症や栄養不足等により年間690万人以上の5歳未満の子供が命を奪われている現状、さらに、産婦人科医や助産師など専門技能を持つ者による緊急産科医療が受けられないなどの理由により年間28万人以上の妊産婦が命を奪われている等、深刻な状況にあることに触れました。

このような問題を解決するという観点から、2000年以降、国際社会はミレニアム開発目標における保健関連の目標である、乳幼児死亡率削減、妊産婦の健康改善、エイズ・マラリア等の疾病の蔓延防止等の達成に取り組んできたが、その達成期限が本年2015年となる中、低所得国を中心にその進捗が遅れ、達成が難しいのではないかという報告もされており、このような現状を踏まえた上で、ODAが果たす役割は大変重要であるとの考えを述べました。

そして、有識者懇談会の報告書では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ等、課題解決先進国としての我が国の経験と知見を世界に共有していくことは我が国の基本姿勢であるとともに責務でもあるとされていますが、今後の保健医療分野における我が国の国際貢献の拡充に向けた取組について、どのように考えておられるのかについて、有識者懇談会座長を務められた薬師寺参考人に質問いたしました。

薬師寺参考人からは、乳幼児の死亡率が非常に問題で、病院をつくるだけでなく、助産師等を派遣するような組織の必要性もあり、また、妊産婦の健康、エイズ・マラリア等への取組も必要であり、そういうグローバルヘルスの分野というのは大綱に重要な事として触れられているが、ますます重要になっていると思うとの御答弁をいただきました。

次に、長参考人が理事長を務めておられる難民を助ける会は、全ての障がいのある方々が社会に平等に参加できるということを目指すとの目標に基づき、社会のサービスの行き届かない国、地域で障がいのある方々の経済的又は精神的、社会的自立を支援すること等を活動の重点に据え、アフガニスタンでの理学療法クリニックの運営支援、タジキスタンやラオスでのリハビリテーション施設への支援、さらにはカンボジア等での車椅子の製造と配付支援、ミャンマーでの職業訓練校の運営や障がいのある児童の里親プログラム等の多様な支援活動を実施されていることに触れました。そして、これまでの活動経験を踏まえ、こうした極めて有意義な支援活動を更に充実させていく上で、今後どういったことに取り組んでいきたいと考えておられるのかについて、長参考人に質問いたしました。

長参考人からは、障がいのある方たちへの支援を非常に重視しており、その理由として、助ける会は国や国連機関と比べると財布が小さいため、その小さな財布でも確実に支援が行き届くようにということで、障がい者の方たちに特に絞った支援を行っていると述べられました。そして、常に財政難であり、自然災害が海外で発生した場合と違って、障がいのある方たちの支援であったり、紛争地の支援になると寄附がなかなか集まらないという現状を述べられた上で、安全保障という言葉が何度も出てきているが、そういう見過ごされがちな方たちへ、日本の強みを生かした支援を官民両方で行っていくことで、テロが起きないような、また、巣くわないような社会への貢献も同時にしていきたいと思うとの御答弁をいただきました。

次に、難民を助ける会では、これまで様々な支援対象国において、スポーツ用品の供与や運動専門指導員によるスポーツ指導、さらには障がい者スポーツ振興のようなスポーツに関わる支援を広く実施されていることに触れました。また、薬師寺参考人が座長を務められた有識者懇談会の報告書の中でも、質の高い成長を通じて貧困の削減を目指すとして、スポーツは人間としてのバランスのとれた成長の実現という観点から、質の高い成長の一要素との記載がされている点についても触れました。そして、国際社会で責任ある地位を占める我が国が、スポーツを通じて国際貢献、また国際支援を果たしていくことについてどのように考えておられるのか、長参考人に質問いたしました。

長参考人からは、助ける会はスポーツの中でも、特に障がいのある方たちへのスポーツ支援を念頭にしてやっており、その良いところは、障がいのある方たち自身が、スポーツを通じてもう一度自信を取り戻していくということや、地元での差別等で非常に苦しんでいる方たちが多くいることから、職業訓練をしてもらって自分で稼げるようになることで周りの理解を得るということももちろんであるが、スポーツで活躍することによっても、差別や偏見の根を取り除いていくことに貢献できるのではないかと思うので、そういった部分での支援がよいのではないかと思っているとの御答弁をいただきました。

最後に、貴重な御意見をいただいた参考人の方々に御礼申し上げ、質問を終えました。